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あしあと

    新しい田舎生活のすすめ―善聞語録152(広報10月号掲載)

    表題は今月上梓された新書のタイトル。その副題には「移住立国あやべで見つけたワクワクのヒント41」とある。本書の中で著者は、IターンやUターンなどで綾部に移住してきた人を紹介しながら、それぞれの生き様や価値観(こだわり)に迫っている。出身地も生業も綾部でのライフスタイルも異なるが、共通しているのは一人一人が確たる軸足を持ってこの地に移り住み、その人なりの”綾部ライフ”を満喫していることだ。幾分割り引いたとしても皆その表情は明るく、自信をもって発する言葉にはそれなりの説得力がある。その奔放な生き方はこの時代にあっては羨ましくさえも映ろう。

    私が以前勤務していた銀行を辞め今の職を決意したのは、故郷を想う気持ちに加え、金融を通しての社会との関わりに限界を感じたことも一因だ。関西国際空港の建設など国家的プロジェクトに携わった際も、直接事業に触れるというより融資を通して間接的にしか貢献できない歯痒さがあった。その点、行政は文字通り”ゆりかごから墓場まで”市民の生活(=人生)に直接関わる仕事であり、特に災害時やコロナ禍での対応では苦難と同時に期待の大きさからやりがいを感じたものだ。

    一方で十数年の市長職を経て、”行政の限界”も感じている。個々の生き様や価値観への関わりは極めて限定的にならざるを得ず、というより寧ろ介入してはいけない分野と心得る。しかしながら移住を希望する人や迷っている人への情報提供や環境整備など雰囲気づくりに行政が関わることは諒とされよう。我が国の都市部には田舎暮らしを志向する”移住予備軍”が十万人単位で存在すると言われる。複雑化する社会において多様な価値観を認め合う重要性を承知する。”水を飲むか否か”の最終選択は本人に帰属するものの、本書が思案中の人たちの背中を押し、一歩踏み出す勇気を刺激するきっかけになるかと期待する。

    山崎善也

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    綾部市市長公室秘書広報課広報・広聴担当

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