あやテラス完成―善聞語録166（広報12月号掲載）

JR綾部駅に隣接して複合施設「あやテラス」が先月、竣工した。当初の構想は新図書館の単体建設から始まったが、自然災害や新型コロナ感染症、また社会情勢の変化の中、幾度となく計画そのものの見直しを余儀なくされた。そして紆余曲折の結果、足かけ8年を経て図書館に加え大規模ホール、それに子どもの交流の場という3つの機能を兼ね備えた複合施設として完成した。度重なる計画変更や財源確保の奔走に要した年月を顧みるに感慨深いものがある。

図書館は広さが2・5倍となりさまざまな機能も向上。ホールは200人規模のパーティが可能、子育て交流施設は全天候型、と長年の市民要望を実現することができた。本事業の完成により、今まで整備を進めてきた駅周辺で都市機能の集積がまた一歩顕在化する。グンゼスクエア等の観光拠点や道路インフラの整備、住宅団地や量販店・飲食店の誘致、そして産業創造センターや新市民センターの完成などと併せ、この10年間で一帯は大きく様変わりした。

15年前に東京から戻ってきた頃、散歩のコースにしていた近所の堤防から眼にしたのは、四尾山の麓まで住宅がびっしりと建ち並ぶ光景。盆地の中心にあって手を施す余地のある空間は駅北に立地する工場の遊休地と農地のみで、都市機能の向上にはこの土地の有効活用が必須と映った。幸いにも関係者からは本市のまちづくりに役立つならば、と友好裡に交渉が進み事業の展開が一気に進んだ。そして今般、「あやテラス」の完成により各施設が点から線へ、さらには線から面となって、それぞれの付加価値も一層高まることが期待される。「あやテラス」という名称には、人々が集い、繋がりが生まれ、新たな賑わいの場になることに加え、綾部の未来を明るく❝照らす❞希望も込められている。本市の新たなランドマークとして末永く愛されるテラスになることを願ってやまない。

山崎善也