異色の黒帯―善聞語録95(広報1月号掲載)
武道の世界では有段者が絞める黒帯は強さの証明であり、また権威の象徴ともなっている。よって白帯よりも黒帯は上で実力も増すのが常となる。私も柔道部において白帯時代は黒帯に憧(あこが)れ、多くの同輩とともに有段者を目指して稽古に励んだものだ。ところが時に、段位を目指すことなくむしろ白帯が黒帯をぶん投げることに快感をもつ者が、少数ながらいる。私の学生時代にも“異色の白帯”として名を挙げ、常に大会で番狂わせの活躍をして、対戦校から惧(おそ)れられる猛者(もさ)がいた。
政治の世界でも、国と地方は対等な関係と言いながら何かとランクを決めたがる風潮がある。国会議員と地方議員、大臣と知事、市長…の世界しかりである。肩書・ポストの希少性や権限の大小、或いは予算規模の違いなどに鑑(かんが)み、そのランク付けがまるで分からぬもないが、だからと言ってそれで人の実力や価値が決まるものでもない。ビジネスや文化芸術、教育の世界における評価も同じことが言えよう。
若い頃、権威の象徴とも言える黒帯に憧れて稽古していた自分を青春の一コマとして懐かしく思い出しつつも、倍旧の齢(よわい)を重ねた今となっては“異色の白帯”の真骨頂にエールと拍手を送りたくなる己がいるのもまた偽らざるところである。
山崎善也(綾部市長)
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