ねずみ年に想う―善聞語録119(広報1月号掲載)
子年を迎えた。干支の先頭であることから、何か新しい物事や運気のサイクルが始まる年とも言われる。さてネズミといえば、子どもの頃に習った「ねずみ算」を思い出す。ネズミがある期間にどれだけ増えるかを計算する指数関数で、雌雄1組のネズミが毎月12匹ずつ産むと1年後には百億単位の数になることから、急激に数が増えることを「ねずみ算式に増える」とも言う。こうした急激な繁殖はやがて食糧難を招き、競争による自然淘汰を経て進化を導くと論じたのは、種の起源と形成の理論を拓いたダーウィン。それはともかく人口減少悩ましい地方都市の首長からするとネズミの増殖パワーに肖りたい気もする。
ところで本市を「人口3万3千」と記すと何の変哲もないが、3万余りの異なる個々の集合体と捉えると、そしてその数だけの人生や生業が各々在るかと思うと、「人口」という一言で括ってしまうことさえ憚られる。この点を踏まえた上で、では誰のための市政か、と問うならば「3万市民」といった漠然とした総体ではなく、やはり”市民一人一人”の幸せの最大化のため―との答えになる。人口減少社会にあっても、個々人の夢や希望が実現するように皆で紡いでいけるまちづくりを目指したい。
ねずみ年生まれは知恵が良く回り、フットワークも良好、そして真面目にコツコツ働くため金も貯まるという。が、先ずは世の平和と、災害の少ない安寧な一年になることを切に願う。
山崎善也
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