高齢者の仲間入り―善聞語録157(広報3月号掲載)
先月、65歳になった。❝高齢者❞の仲間入りである。相前後して介護保険や年金関係の通知などが届き、改めて節目の年を迎えたことを再認識。今まで幸いなことに心身ともにさほど衰えを実感することもなかったが、それ故に今回の誕生日は例年になく感慨深く、同時に己の老後を改めて考えてみる機会にもなった。
私には同年代の知り合いで大きく分けて4つのグループがある。18歳まで過ごした綾部の幼馴染。大学時代の柔道部やゼミナールの仲間。前職である銀行員時代の同期生や仕事を通じて付き合った人たち。そして現職に就いてから交流を深めた政治や行政関係の知り合いである。それぞれ分野は異なり、また付き合いに濃淡はあれ、その時々を同じ世代の仲間として切磋琢磨し、辛酸を共にした同士と言える。しかしながら還暦を過ぎた頃から、悠々自適の生活を選ぶ者もあれば、大企業のトップなど実社会の最前線で活躍する同輩も少なからずいるなど、まさに❝人生いろいろ❞である。中にはすでに鬼籍に入った同級生、闘病生活を余儀なくされている知己もいる。アメリカの詩人サミュエル・ウルマンの残した有名な『青春』の一節が身に沁みる。
「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心のもち方を言う。すなわち人生の深い泉の清新さを言うのである。…時には20歳の青年よりも60歳、80歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いる」
身体能力が人生の黄昏に入ったことは紛れもない事実。すべての赤ちゃんは泣き声を発して生まれてくるが、これは心肺機能を母親の胎内から胎外のシステムに変更するため必要な行為とも…。もうそんな必要もない我々高齢者は、穏やかな笑顔を絶やすことなく❝老後❞を生きたいものだ。
山崎善也
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