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あしあと

    北風より太陽―善聞語録90(広報8月号掲載)

    北風と太陽が、旅人の上着を脱がせることができるか力比べをするイソップ寓話(ぐうわ)がある。北風は力ずくで上着を吹き飛ばそうとして失敗するが、太陽は燦燦(さんさん)と照り付けることで旅人が自ら上着を脱ぎ、勝負が決した話である。転じて物事に対して厳罰で臨(のぞ)む態度と、寛容に対応する姿勢の対比を諭(さと)す例えとして用いられる。
    米国留学中の講義で、アメリカ人は恐怖心を煽(あお)った方が生産性の上がる傾向が強いが、日本人は逆に安心を与えた方がより頑張る国民性であると紹介されたことを思い出す。因(よ)って米国では徹底して成果主義を導入し解雇をもちらつかせる経営が主であるのに対し、日本では年功序列や終身雇用をもって愛社精神を涵養(かんよう)し、滅私奉公を是とするとの説明であった。
    地方創生の論拠となったのは「増田レポート」と呼ばれる報告書だが、その中で896の自治体を"消滅可能"と名指しで公表したためその反響は大きかった。いわば「北風」作戦の如(ごと)く恐怖心を煽り危機感を植え付けることを目論(もくろ)んだのであろうが、結果として自治体の多くに"諦(あきら)め"と"絶望"だけが残ったのもまた事実である。水源の里のアドバイザーである小田切徳美・明治大学農学部教授は、地域振興こそ「太陽」作戦で臨むべきと論じる。地方創生には忍耐を要するが、性急に果を追うより地道に頑張るしか道は拓(ひら)けないとの強いメッセージと捉える。

    山崎善也(綾部市長)

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