国のかたち―善聞語録117(広報11月号掲載)
友好締結30年を記念して中国・常熟市を訪れた。自身5年ぶり3度目となるが、訪問の度にその変貌ぶりに驚く。高速道路が延び、高層ビルが増え、ショッピングモールもこの春に誕生。来年には新幹線も開通し、上海まで30分と時間距離が格段に短縮されるという。
今回の訪問で最も印象的だったのは、インターネットが日常生活の隅々にまで浸透しキャッシュレス社会を構築していたこと。自販機にはコイン投入口がなく、売店で現金を出すと怪訝な顔をされた。これを実現するには、SNSの普及や精度の高い認証技術に加え、年金・保険、医療等が個々の銀行口座とリンクするよう、日本でいうマイナンバーが徹底して国民一人一人に付与されていることが条件となる。余談ながら、彼らが日本旅行するのに新規購入するのは、普段使わなくなった財布だという。
途上国の発展を考察する開発経済学によると、短期間で経済を急成長させるには”開発独裁”が効果的とされている。”独裁”の主体は人の場合もあれば、政党や宗教あるいは軍部の場合もある。かつての日本やシンガポール、また韓国やブラジル等の台頭が引用され、中国もその範疇で決定のスピードや経営資源の集中投資という点では極めて有効とされるが、一面、民主主義とのせめぎ合いも伴う。
購入履歴や日常の行動が隈なく監視され、ビッグデータとしてAI(人工知能)進化の糧ともなる社会構造を目の当たりにし、生活の利便性と民主主義の功罪について再考させられた訪中であった。
山崎善也(綾部市長)
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