ミツバチの知恵―善聞語録181(広報3月号掲載)
よく働くミツバチを100匹集めても必ず一定の割合はサボり始め、逆にサボるミツバチばかり集めたら一定の割合は働き始める―。つまりハチやアリなどの集団生活を営む生態では自ずから「せっせと働く」「普通に働く」「あまり働かない」の3つのグループに分かれ、その大体の割合「3:4:3」から「サシミ→刺身」の法則とも呼ばれる。これで待遇が同じであれば、よく働くハチから不満が出てきそうなものだが、どんなに真面目なハチでもずっと働き続けることは困難なため、疲労時の交代要員として普段は働かずにいるハチの存在が、持続的な組織運営の上では欠かせないとの説も…。
ところで、ミツバチの世界は女王バチを頂点とする専制社会の典型のように思われているが、実は全体による集団意思決定システムが存在するという。例えば女王バチを含む群れが新たな巣に引っ越すことを「分蜂(ぶんぽう)」というが、新天地をどこに求めるかという死活にかかわる大きな決断を下す際には、数百匹の❝探索ハチ❞が持ち寄る候補地の情報をハチ独特のダンスで共有し❝民主的な❞数の論理で決議するという。この過程で何と、女王バチは狭い部屋に閉じ込められ蚊帳(かや)の外にされているといい、これは独裁的な指導者による専横を避ける種の存続を懸けた知恵であるとか。
ミツバチの生態と人間社会を単純に比較できないことなど承知しながらも、人類が永い時間と大きな犠牲を払って積み上げてきた民主主義を、自国第一主義や保護主義を声高に掲げて一蹴するリーダーの台頭をみる今、時にはミツバチの生態から学ぼうとする謙虚な姿勢を持ちたいものだ。そして願わくば、人類の智慧(ちえ)が少なくともミツバチよりは優(まさ)っていると信じたい―。
山崎善也
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