人生泣き笑い―善聞語録86(広報4月号掲載)
人はたいてい「オギャー」と泣いて、この世に生まれてくる。そして周りは満面の笑顔で新しい命の息吹を祝い、その子の前途洋々な人生を願う。一方で死に面した時、多くの人は涙する。故人の元気な生前の姿に想いを巡らし、この世ではもう会えないことを悼(いた)み泣くのが常である。
過日、とある葬儀に参列した際のこと。遺族の方いわく、故人はこの世に満足してあの世に逝(い)かれました。行きたい所はどこへも行き、食べたいものはぜんぶ食べて、思い残すことないと申しておりました-と。美しく化粧された顔は確かに安らかで、微笑さえ湛(たた)えた表情は遺族の言葉通り、未練のない人生を全(まっと)うされたものと拝察した。
あの世があるのかないのか、あればそれは極楽か地獄か-の論議は宗教家に委ねるとして、“生”と“死”は人の生における究極の節目であろう。そして人生の終わりを笑って迎えられるかどうかは、その人の“生き様”そのものが表れる瞬間ではなかろうか。
生きることは決して楽しいことばかりではなく、栄枯盛衰は世の習い。「苦楽は糾(あざな)える縄の如(ごと)し」とも言う。歓喜の中で泣いて生まれてくるのが赤ちゃんならば、人生の終焉(しゅうえん)は周囲の悲しみに包まれながらも、本人は満面の笑顔を遺(のこ)せる生涯を送りたいものだ。
山崎善也(綾部市長)
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