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あしあと

    二兎を追う―善聞語録151(広報9月号掲載)

    「二兎を追う者は一兎をも得ず」。二つの目標を同時に追求すると両方を取り逃がしてしまう戒めとして使われる格言で、同意語に「虻蜂取らず」も。とかく”一芸に秀でる”ことや”一つの道を極める”生き様を良とする伝統的な国民性にも通じる。

    一方、米大リーグで活躍する大谷翔平選手が”伝説”のべーブルース以来史上2人目、104年ぶりとなる「二桁勝利・二桁本塁打」を達成して話題になっている。まさに二兎を追い二兎を得た偉業だと思うが、本人の弁は「今までチャレンジする人がいなかっただけ」と素っ気ない。更には「2刀流」という言葉さえ避け、野球は本来「投げて・打って・走る」スポーツとまで言い切る。今日に至るまでには”外野”からさまざまな声が喧しかったろうし、内にも葛藤があったことと推測する。今なお、投手か打者のどちらかに絞ればもっと高みが目指せると宣う評論家もいる。

    私見ながら、今の時代は実は二兎を追うことを求めているのでは、と考える。コロナ感染予防と社会経済活動の奨励、二酸化炭素の削減とエネルギーの確保、財政再建と経済の伸長など…まさに「不確実な時代(VUCA=本紙7月号)」だからこそ2刀流、それどころか3刀流、4刀流さえ求められているのではなかろうか。一般サラリーマンにも副業が励行され、田舎暮らしにおいては収入源を分散させる”多業”が理想と言われる。教育現場の進路決定においても複数の選択肢を否定しないことが求められるようになった。元々、二十歳に満たない学生が生涯の生業を一つに絞ることに無理があったのかもしれない。そんな時代なのだと言った方が相応であろうか。”敗者復活”や”人生二毛作”の生き方にも寛容になってきている。その意味では、大谷選手ほどの天賦の才を与えられなくても、一度きりの人生を後悔なきように、二兎でも三兎でも、自らの夢を自らの意思で追い求めるチャレンジャーを応援してみたい。

    山崎善也

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