イマジン（想像してみよう）―善聞語録147（広報5月号掲載）

ビートルズのメンバーであったジョン・レノンが、平和活動を共にした妻オノ・ヨーコが作った詞に譜を付けた名曲『イマジン』が誕生して50年が経つ。♬想像してみよう　国なんてないと　想像してみよう　宗教もないと財産もないと　君は僕を夢想家というだろうだけど独りではない　いつか世界が一つになって共に生きればいい♬「世界を一つに」と語りかけるこの歌を、億万長者のジョンが唱えることを批判する時期もあった。それでもこの歌は、1989年のビロード革命と呼ばれた穏やかなチェコスロバキア民主化革命において歌われ、また2001年のアメリカ同時多発テロの直後にニューヨークの摩天楼の一角で悲しみに打ちひしがれる遺族が口ずさんだ。そして記憶に新しい2019年の香港民主化デモにおいてもイマジンが流れたという。

終始スローテンポで抑揚を抑えたメロディが癒しとなって心に染み入るのか…、人類愛に満ちた歌詞が人々の傷んだ心の襞に共鳴するのか…その両方と思うが、半世紀の時を超えて歌い続けられるのは、この歌の根底に大いなる祈りと権威への挑戦、そして真実を探求する熱い想いが流れているからであろう。

本市の地球市民の集い実行委員会では、ロシアのウクライナ侵攻に抗議すべく、紫水ヶ丘の平和塔を日が暮れるとウクライナ支援のシンボルとなっている同国旗色の青と黄にライトアップしている。3月には寺山山頂で同国と本市、世界連邦運動の旗を掲揚して早期停戦と世界平和を祈願する集いを開催し、多くの市民が祈りを捧げた。世界連邦の理念を″イマジン″の歌詞と重ねながら、「一人一人の力は微力ながらも、決して無力でない」との言葉を心に刻んで、今後も平和活動に邁進したい。

山崎善也