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あしあと

    見逃しと空振り―善聞語録55(広報9月号掲載)

    野球のルールによると、「見逃し」も「空振り」も3つめのストライクは同じアウトとなる。しかしながらこの2つの行動の意味と結果によって生じるところは大きく異なる。あまりの剛速球にバットが出ない場合もあるが、それでも一瞬の躊躇(ためら)いは否定できないのが見逃しの三振。一方、積極的に投球に向かって行動を起こしたものの、ピッチャーとの実力差か時の勝負運かの結果としての空振り。同じ三振でも打者の達成感や満足感は異なるであろうし、見逃し三振は後悔となって引きずる場合もあろう。

    豪雨の8月からほどなく本格的な台風シーズンがやって来た。昨年の台風18号の脅威は記憶に新しいところであるが、行政のトップとして避難指示を出すべきか否かの判断が求められる時季となった。もしかしたら大過なく過ぎてくれるかも―との期待を含めた一瞬の逡巡(しゅんじゅん)が判断を鈍らせることになる。

    一方やみくもに避難指示を乱発して、「狼と少年」の寓話の如(ごと)く市民の危機管理意識を麻痺させてしまうのも、もとより本意ではない。結果責任の伴う首長としては、見逃しよりも空振りを恐れない気持ちを持つべきと自らを鼓舞している。避難指示の発令に伴い、その都度、避難所への移動や不便な生活を余儀なくお願いすることになる。それでもかけがえのない「命」を守るため、そして本市の災害対応に悔恨(かいこん)を残さないためにも、避難指示の「空振り」はたとえ徒労に終わろうとも“見逃し”ていただくしかないと思うのだが…。

    山崎善也(綾部市長)

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