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あしあと

    盆地人―善聞語録57(広報11月号掲載)

    綾部の風景でどこが好きかと尋ねられたら、まず紫水ヶ丘からの眺望を挙げる。なだらかな山の稜線に囲まれた盆地の中で市民の生業(なりわい)が息づく街の佇(たたず)まいには、母の懐に抱かれたような穏やかな温(ぬく)もりを感じる。また盆地の真ん中を流れる由良川は、山紫水明の地を四季折々に彩りながら、その恵みを大海に運ぶ。「森は海の恋人」と言われるが、それを結ぶ川の役割は大きい。中世には京の都の“雅(みやび)”に対比し、この一帯の田舎ぶりを“俚(さとび)”と称したが、農耕民族として和を尊ぶ精神性は、世界平和を希求する現在の本市に繋(つな)がる。この地の人々は“盆地人”の特質を発揮し、コツコツと粘り強くモノづくりに勤(いそ)しんだ。農業や蚕糸、そして金属加工等、手懸けるモノは時代を映して変遷するが、“モノをつくる”行為を通して何代にもわたる人々の真摯な営みが本市の礎を築いてきた。

    来春、この地と京阪神が一本の高速道路で直結する。車社会は川の流れを凌(しの)ぐ速さでヒトやモノの動きを活発化させる。もちろん利便性の向上や将来の発展に寄与するインフラ整備が進む期待は膨らむ。しかしながら一方で、本市が通過点になりストロー現象で都市部に人口が吸収される懸念も払拭しきれない。いずれにしても盆地での暮らしに少なからず影響が出ることもあろうが、そうであっても、逆説的に聞こえるかもしれないが、敢(あ)えて盆地人らしく振舞うことが本市の軸足を見失わないことになるのではないかと考えている。

    山崎善也(綾部市長)

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