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あしあと

    続・三遊間のゴロ―善聞語録63(広報5月号掲載)

    4月に入って市役所や市立病院にも多くの新採職員を迎えた。私は以前、本稿において、求めるべき職員像として“三遊間のゴロ”を自発的に捕りに行くような心構えが必要では、と推奨したことを思い出した。即ち行政の縦割り制度に縛られることなく、多様化する市民ニーズに柔軟に応じる態度が公務員に必要だと説いた。その想いに変わりはないが、さらに今、持続的なシステムとして構築するには、野球の範疇(はんちゅう)を超えてサッカーや更にはバレーボールのようなチームを目指すべきではないか、と考えている。
    野球は守備位置や打順が固定していて、チームプレーでありながら基本的には分業体制による個人技のスポーツである。一方サッカーは、ポジションはあるものの状況に応じてディフェンスが攻撃にも参加したりするので、より臨機応変の戦術を要する。バレーボールに到ってはローテーションでアタッカーも後衛に回るため、自ずからレシーブの練習が不可欠だ。
    組織の機構改革や人事異動にはいつも頭を悩ませるが、継続性による熟度のアップを採るか、刷新により新たな人材の開発や育成を図るか、という背反(はいはん)するバランスをいかに保つかがポイントとなる。詰まる所はシステム作りになるが、個々のやる気や精神論に委ねることなくルールそのものを変えることで、より柔軟な組織に改編することが結果的に“三遊間のゴロ”に飛びつく早道に繋がるのではないか、と思いは巡る。

    山崎善也(綾部市長)

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