知足利他―善聞語録33(広報11月号掲載)
知足(ちそく)とは「足るを知る」、利他とは「自分よりも他人の利益・幸福を求める」をいう。すなわち“知足利他”とは、人間は現状に満足であると認識すると他人のために頑張れると諭す。
シンガーソングライター井上陽水はその昔、「限りないもの、それが欲望」と歌った。白い靴を手に入れたら青い靴が欲しくなり、どうせ死ぬなら天国へ―と吐露した。欲望は塩水にも喩(たと)えられる。飲めば飲むほど喉の渇きは激しくなり、さらに塩水を欲するという喩えはわかりやすい。
一方で“欲”は目標達成の動機付けとなり、頑張る気持ちの源にもなる。人は満足した時点で成長は止まるともいうが、この相反する道理は果たして両立するのであろうか―。
伝統的な欲の象徴は金と名誉。また権力も欲の代表格とされるが、その背景には世の中全体が貧しく、そして多くが経済的に困窮していたこともあろう。現実に手中に無いからこそ欲となる。翻(ひるがえ)って、現代において求められているのは物質的な豊かさよりも、癒やしや優しさなど精神的な充足感といわれる。すなわち現代社会に枯渇しているものはモノではなく“心”であるからであろう。
綾部市の第五次総合計画では目指すべき都市像を「ゆったりやすらぎの田園都市」としたが、ここでも“伝統的”な欲望とは異なる新たな価値観の涵養(かんよう)を唱えている。
山崎善也(綾部市長)
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