成功の社会還元―善聞語録41(広報7月号掲載)
世に起業して財を成し、名を得た人は数多い。多くの成功者は、寝食を忘れ他人(ひと)が遊んでいる間も働いた賜物(たまもの)であると胸を張る。血の滲(にじ)むような努力の対価として巨財を築いたサクセスストーリーである。ではその獲得した財産はすべて本人に帰属するものか?
来春から消費税が上がる雰囲気だが、前述の議論は富める人に累進課税する所得税と、貧富に関係なく徴収する消費税のどちらが平等性の観点から適切なのか、といった議論にも通じる。成功者の多くは、自身の努力の賜物である財は当然の如(ごと)く当人に帰属すると主張するかもしれない。
一理あると傾聴はするものの、一方で、その成功者が努力することを可能にした環境や条件、更には法治国家の自由経済の下だからこそ当該事業が成就したと考えるならば、本人の努力の領域を超えた要因もあろう。封建社会では商才よりも武術の巧拙が能力を計る尺度として優先されたであろうし、米や魚とてどんなに労を尽くしても自然の恵みがなければ手にすることはできない。
このような視座に立つならば、富める人も本人の営為以外の恩恵に対して謙虚であるべきだし、生かされている社会に還元する気持ちを忘れてはならないことに気付く。米国の大富豪ウォーレン・バフェット氏の寄付は累計4兆円を超える。まさに同氏がリベラルな民主主義を謳歌(おうか)する現代社会への感謝を認識しているからであろう。
綾部市長山崎善也
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