二つの風―善聞語録50(広報4月号掲載)
ソチ五輪が終わった。日本選手の戦績は悲喜こもごもであったが、オリンピック開催中は愛国心の高揚もあってか、つい日本勢への応援に力が入る。そしていよいよ2020年の東京オリンピックに向けて、我が国はこの世紀の一大イベントを成功させるため、ソフト・ハード両面で周到な準備をこれから進めていくことになる。
前向きに事を進める時のエネルギーは大きく、それだけに事を成就した時の達成感も大きい。もちろん、何かを得る時は何かを捨てることも必要であり、そうしないと情報に溺(おぼ)れがちな現代にあって、限りあるメモリー容量は満杯になってしまう。それでも決して忘れてはならないことがこの世には存在する。
今年も3・11を迎えたが、東日本大震災の被災地は今“二つの風”と闘っているという。すなわち風評被害と事実の風化―。災害発生から3年が経ったが復興は遅々として進まない。それにもまして被災地の人々が怯(おび)えるのは事実の風化である。愛の反対を意味する言葉は憎しみではなく「無関心」であるという。人は無関心に置かれた状況において最大の不安を感じると説いたマザー・テレサの言葉は重い。
本市においては被災地との学校を通じた交流や、津波に流された「みちびき地蔵」の寄贈、あるいはコミュニティラジオを通じて絆を深める活動等が民間レベルで実施されている。「決して忘れない」というメッセージを継続して発信することが、強まる二つの風へのせめてもの抗(あらが)いと心得る。
綾部市長山崎善也
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