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あしあと

    S字曲線―善聞語録58(広報12月号掲載)

    ある講演会での経営コンサルタントの言葉、「まちづくりの進捗は“S字曲線”の如し」―が印象に残っている。座標の横軸に時間を、縦軸に施策の成果を表すと、ローマ字の「S」を下からなぞるように、最初は遅々として上向かないが、やがて急に盛り上がっていく状態の喩(たとえ)だ。また、なかなか進まない時期にはプロジェクトの多くが途中で潰れていくことも付言されていた。早期の実績や成果が求められるのは政治や行政の宿命であるが、まちづくりには一定の熟成期間を要する現実とは自(おの)ずとジレンマが生じる。功を急ぐあまりの拙速な施策は後世に禍根を残しかねない。

    前職時代、破綻寸前の企業の再生に関わった。大胆な人員整理や事業見直しなどを断行すると、売上は一般的に減少するうえ、リストラコストの発生などにより、利益が縮小し赤字も余儀なくされる。企業価値が一時的に下がってから上昇に転じるという意味で、S字どころか「V」字を描くのが事業再生の常とさえ言われている。

    今年のノーベル賞受賞者にその道一筋50年という方がいたが、世の中には生涯にわたって光を浴びないままの人も数多い。それでも一途に信念を持って頑張り続けられる源は何なのか。S字であってもV字にしても、反転上昇するまでの苦節を耐え忍べるか否か―。実はここに、まちづくりの成否を分ける分岐点があるのかもしれない。

    山崎善也(綾部市長)

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