似て非なるもの―善聞語録190(広報12月号掲載)
一見似てはいるが実は異なるものを「似て非なるもの」という。中国の思想家孟子の言葉に由来するが、平たく言うと紛(まぎ)らわしいもの、ともなろうか。多々ある例で思い浮かぶままに列挙すると、チンパンジーとオランウータンは同じ類人猿だが生息地がアフリカとアジアで異なる。素麺(そうめん)と冷や麦は麺の太さ加減の違い、サッカーとフットサルはコートの広さやルールが異なり、ソーセージとウインナーは総称かその一種。ちょっと趣が違うが同じ「たまご」でも、卵は生物学的な表現として使われるのに対し、玉子は食材的な意味合いが強い。
もう少し踏み込むと、「自由」と「わがまま」の違い。自由は他者を尊重しつつ自分の意思で行動することで責任を伴う一方、わがままは自分の欲求を優先して他人の気持ちを顧みない自己中心的な行動を指す。また「慎重」は軽率に行動しないことで思慮深さに基づくのに対し、「臆病」は恐れが根底にあるゆえの自信の無さや消極性につながることが多い。
政治の世界における首長と議員の役割も似て非なるものに挙げられよう。二元代表制の下、ともに住民による直接選挙で選ばれるのは同じながら、条例の制定・改廃や予算編成、人事を練り提案する立場と、出されたものを受け審議する側では大きく異なる。その権能の違いはひとえに、首長には結果責任が伴うことにあると思うが、それが為政者の運命(さだめ)というものであろう。国政においてもトップに就いた途端、議員時代の威勢をなくして失望を招き、退陣を余儀なくされる例が散見されるところ。もとより両者の立場の違いに優劣はないものの、つまるところはそれぞれの本質を正しく見極めながら理解し、それぞれの立場を真摯(しんし)に全(まっと)うすることが肝要と心得る。
山崎善也
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