疾風に勁草（けいそう）を知る-善聞語録16（広報6月号掲載）

今、日本国そのものがあらゆる分野で試されているといっても過言ではない。安全安心の再構築、日本経済の立て直し、エネルギー政策の転換、人の絆（きずな）や共助の精神の大切さなど…。表題は『後漢書』の言葉で、「激しい風が吹いて強い草が見分けられるように、困難に遭って初めてその人間の本当の強さ、価値が分かる」という意味。今の日本が問われているのはまさにこの一点であろう。

日本人は過去において天災や戦争、そして経済危機など幾多の苦難を乗り越えてきた。文字通り産官学が一体となり、1つの目標に向かってコツコツと愚直なまでに努力をして現在の日本の繁栄を築き上げてきた。ただしこれにしても“気合と根性”だけの努力では実現は無理で、そこには周到に準備された戦略とそれを推し進める組織体制が不可欠だったはずである。

幸いわが国はその時々に人を得、そして英知を結集して国難を克服してきた。この実績に日本国民が自信と誇りを持っていいことは歴史が証明している。持ち前の気合と根性が優れた戦略とピッタリとかみ合えば、車の両輪のごとく大きな推進力になることは間違いない。そしてその営みにより、この国が疾風後の勁草にとどまらず、向日葵（ひまわり）のように大輪の花を咲かせることを信じて疑わない。

綾部市長山崎善也