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あしあと

    一滴の水を大河に-善聞語録7(広報9月号掲載)

    綾部市長山崎善也

    中東和平プロジェクトを再び綾部で開催した。イスラエルとパレスチナの高校生ら5人ずつ計10人が綾部に到着。あどけなさが残る子どもたちだが、それぞれ親族の誰かを紛争で失うという暗い過去を持つ。そして互いに憎しみ合う関係―。

    絶対にあり得ない組み合わせの子どもたちがこの地でペアになり、綾部のホストファミリー宅で文字通り「一つ屋根の下」で過ごす。期待と不安で戸惑いを感じながらも、共に過ごす時間と空間の中で、子どもたちの偏ったこだわりが消えていくのにさほどの時間は要しない。共に食事を楽しみ、太鼓や書道などの日本文化を体験し、夜遅くまで語り合う中で、お互いが紛争の犠牲者であることや対話することの重要性、そして何よりも平和の大切さを学んでくれた。

    そして1週間後。日本での生活を終え、同じ飛行機で帰国の途につく前に、次の言葉を残してくれた。「親の世代はともかく…自分たちの世代なら平和を実現できる確信が持てた。なぜなら、この綾部で我々は仲良く暮らせたのだから!」

    このプロジェクトを始めて7年、参加した人数はまだ73人。それでも1滴の水が大河になると信じ、この中東和平プロジェクト継続の意義深さを再認識した。

    子どもたちは帰国後、友人・知人に、綾部での貴重な体験談を話してくれるだろう。そのことが将来、大きなうねりにつながる。そう念じて止まない。

    綾部市長山崎善也

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