日本の宿命―善聞語録76(広報6月号掲載)
熊本での地震の発生以降、現地では余震が収まらず、いまだ多くの人が避難を余儀なくされている。ちなみに阪神大震災時に当地に住んでいた自身の経験からして、実はこの余震が被災者の気力と体力を著しく削(そ)いでしまう。地震予知の難しさは理解するものの、言い訳じみた地震学者の解説が今回も虚(むな)しく響く。研究に多額の予算が投じられているにもかかわらず、熊本地震を予測して警告を発した学者は皆無。地震予知への風当たりが厳しくなるのも無理はなかろう。
一方で、的確な地震の時期や場所、或いは規模の予知は不可能と割り切り、地震発生後に最初に届くP波と遅れて到達するS波の時間差を利用して被害を最小限に食い止める研究を進める学者もいる。「初期微動継続時間」に着眼したもので、要はカタカタ小刻みに揺れるP波をできるだけ早く察知し、ドーンと破壊力の強いS波に見舞われるまでの僅かな時間(数秒から数十秒)に何ができるかを考える。例えば一斉に警報を発したり、あらゆる火元を強制的に消したり、エレベーターを近くの階で緊急に止めたりすることは可能であろう。
いずれにしても我が国ではどこでも地震が起こりうるものだという認識が必要で、地震のみならず台風や大雨等の脅威は、日本という国が自然の恵を享受するとともに背負った宿命でもある。その意味では、必ず襲ってくる“仮想敵国”とは実は「地震の脅威」であり、その備えが国防の基本とも言えよう。
山崎善也(綾部市長)
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