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あしあと

    将棋とチェス―善聞語録30(広報8月号掲載)

    将棋とチェス。一見、似ているがその謂(い)われやルールは異なる。例えば将棋はチェスと違って、奪った相手方の駒を味方として活用できる。この差を単にルールの違いと割り切るか、あるいは洋の東西、すなわち農耕民族と狩猟民族の差異にまで想いを巡らせるか。

    農耕民族は古(いにしえ)から共同で田畑を耕し、時には力を合わせて嵐に立ち向かい、秋には皆で収穫を祝う。“和”の精神をもって“赦(ゆる)す”文化がこの共同体を支えてきた。一方、狩猟民族は自らの狩場を他人に教えようものなら、自らの家族を飢え死にさせることにさえつながる。ここに、生存のために徹底した個人主義を貫く必然性が生まれる。

    敵をも赦(ゆる)す文化と、冷徹に突き放す文化。もちろん徒(いたずら)に闘いを望む者などいない。争いとは敗者を生み、多くを奪う。そしてそこから生まれるのは憎悪の念。だから憎しみを生じる闘争そのものを無くさねばならない。ならばどうする―。

    即効薬はないが、やはり“和”を壊さない手段をひたすら追求するしかなかろう。衣食住の安定とともに、人の心の和、家族の和、地域社会の和、自然との和、そして故郷の歴史と文化への自己の帰属意識に拠(よ)って立つ和が欠かせないと考える。物言わぬ将棋の駒が伝える“和”の精神でもって、敵をも味方にする伝承の価値観を誇りに、それをもって綾部のまちづくりに邁進(まいしん)したいものだ。

    山崎善也(綾部市長)

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