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あしあと

    帰去来―善聞語録60(広報2月号掲載)

    「帰りなんいざ、田園まさに荒れなんとす、なんぞ帰らざる」―。中国南北朝時代の詩人、陶淵明(とうえんめい)の代表作『帰去来(ききょらい)の辞』は、本文冒頭でこう詠(うた)う。すなわち、「故郷に帰ろう、田畑が荒れているのにどうして帰らないか」と、自ら官途を辞して帰郷する決意を高らかに披露している。

    現政権においては「地方創生」の掛け声により多額の予算が計上されようとしているが、まちづくりの原動力となるのはやはり、お金ではなく、「人」であり「志」である。そしてその心を育てるのは、家庭や学校、地域での教育にあると考える。宮沢賢治は花巻農業高校の教師時代、上京して進学を希望する生徒に対し「君は優秀だからこそ故郷に戻りなさい」と諭(さと)したという。こんな進路指導が現代においてできるだろうか。ただ、都市住民の田園回帰は確実に起きており、その志向が若い世代にもシフトしているのは心強い。

    市長就任当初から継続している「市長のふるさと講座」が今年も始まった。市内の中学校を回り、卒業間近の3年生に直接、本市の魅力や課題を語りかけている。どれだけ生徒の心に響いているか知る由もないが、故郷は裏切らないと力説している。

    そういえば、プロ野球の黒田投手が20億円とも言われる大リーグの年棒を蹴って、彼にとって故郷である広島カープに復帰すると報じられていた。その決断に賛否はあろうが、お金以外に価値を見出す流儀があるのもまた然(しか)り―。「帰去来」の志に、地方創生の原点はある。

    山崎善也(綾部市長)

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