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あしあと

    日本海の妙―善聞語録52(広報6月号掲載)

    中国・常熟市を訪れ、友好締結25周年を王市長と祝った。近年の日中関係は難しい局面にあるが、こんな時期だからこそ地方レベルの交流に意義があることを確認し合った。上海までは空路2時間。その昔、中国への使者が何か月もかけて船で海を渡り、大陸に辿り着いたことを想うと隔世の感がある。と同時に、この両国を隔てる日本海の存在とその距離感が極めて重要な意味を持っていることに気付く。すなわち、漢字や思想、その他さまざまな文物を伝えるにはほどない距離であるが、一方で我が国を征服する兵を船で送り込むのは阻んだ。2度に亘る元寇の役を“神風”により凌(しの)いだ歴史の証左が物語るように、結果的に我が国は大陸文化に浴しながら、一方で侵略されずに独立を維持することを可とした。これは地続きの朝鮮半島や近海の島嶼(とうしょ)に比し、日本海の存在、そしてその距離に負うところがあると言わざるを得ない。この微妙な距離はやはり神の為(な)せる技と言うべきものか―。いずれにしても日中両国は、この意味合いを肝に銘じ、どんな局面においても徒(いたずら)に結論を急ぐ行動は慎むべきと考える。先人の智慧(ちえ)に学び、微妙な距離感を保つ中で、直面する難問を一定の時間軸の中で解決していくことが重要であり、場合によっては敢(あ)えて次の世代に解決を託す勇断も必要となろう。時空の営みが持つ重みに鑑(かんが)みない言動に対し、絶妙の距離感を永く保ってきた日本海が今日の事態を嘆いているようにさえ思える。

    山崎善也(綾部市長)

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