綾部市障害者差別解消の推進に関する職員対応要領 平成29年8月1日 1 綾部市障害者差別解消の推進に関する職員対応要領の趣旨  この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消を推進するため、また、法第7条に規定する事項に関し、綾部市職員(以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。  なお、地方公営企業や、指定管理者制度導入の公共施設に所属する職員は、法の規定上、事業者と位置付けられることから、直接には対応要領の対象とはならないが、同等の対応を求めるものとする。 2 用語の定義  この要領における用語の定義は、下表に定める。 (1)障害者 法に規定する障害者をいう。 (身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの) (2)社会的障壁障害者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。(3)合理的配慮障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。(4)事前的改善措置社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備をいう。 3 不当な差別的取扱いの禁止  職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 4 合理的配慮の提供  職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務・事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者(以下「障害者等」という。)から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮の提供をしなければならない。 5 相談体制の整備  職員による障害を理由とする不当な差別的取扱いに関する障害者等からの相談等の対応は、その事務・事業を所管する課等(以下「所管課等」という。)の職員が行うものとする。  なお、所管課等において対応が困難な場合は、当該障害者等の了解の下、障害福祉担当課に連絡し、必要な対応を行う。  また、所管課等で対応した相談等は、障害福祉担当課に報告し、プライバシーに配慮しつつ関係課で情報共有を図るものとする。 6 事前的改善措置の実施  職員は、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合や、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、事前的改善措置を積極的に実施するよう努める。 7 職員の研修  職員は、障害者に対して適切に対応し、障害者等からの相談等に的確に対応するため、障害に関する理解や知識を深め、研修等に積極的に参加するよう努める。 (別紙) 綾部市障害者差別解消の推進に関する職員対応要領に係る留意事項 1 障害の捉え方と背景について  障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえる必要がある。  したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。  また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意すること。 2 不当な差別的取扱いの禁止について  不当な差別的取扱いとは、その事務又は事業を行うに当たり、正当な理由なく、障害を理由として、拒否をする・制限する・条件を付する等、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。  正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、行政サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。  職員においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)及び実施機関の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。  職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。  障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。  したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例 〇障害があることを理由に窓口対応を拒否する。 〇障害があることを理由に対応の順序を劣後させる。 〇障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 〇障害があることを理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。 〇事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。 (留意事項)  具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としている。  不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断される。  これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではない。 3 合理的配慮の提供について  合理的配慮とは、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとするいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。  合理的配慮は、実施機関の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。  合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。  さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。 合理的配慮に当たり得る具体例 (合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例) 〇段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。 〇配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。 〇目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 〇障害の特性により頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。 〇疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。 〇不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 (合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例) 〇筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字などのコミュニケーション手段を用いる。 〇会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なりうることに留意して使用する。 〇視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 〇意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 〇通常口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 〇書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。 〇比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。 〇知的障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 (ルール・慣行の柔軟な変更の具体例) 〇順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。 〇立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 〇スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。 〇車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 〇公共施設等の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 〇入館時に一般のゲートを通過することが困難な場合、別ルートからの入館を認める。 〇他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備する。 〇非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。 (留意事項)  これらは、過重な負担が存在しないことを前提としている。  これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではない。 4 社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明について  障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明は、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。  また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。  なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 5 過重な負担の基本的な考え方について  過重な負担については、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。  職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 過重な負担の要素 ○事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) ○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ○費用・負担の程度 ○事務・事業規模 ○財政・財務状況 6 相談体制の整備について  障害者等、所管課等、その他関係課等の相談体制は以下のとおりである。 (1)障害者等は所管課等へ相談 (2)所管課等は必要に応じ障害福祉担当課及び関係課と連携 (3)所管課から障害者等に対応 (4)障害福祉担当課は協議会に報告 ※ 協議会とは、法に基づく障害者差別解消支援地域協議会であり、地域における障害者差別に関する相談等について情報を共有し、障害者差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うネットワークとして機能するものである。本市においては綾部市障害者施策推進協議会がその役割も担うこととしている。 7 事前的改善措置の実施について  不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることは重要である。  新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が必要である。  合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながるという認識に基づいて取組む必要がある。 8 綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例との関係について  綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例は、手話を言語と位置付け、また多様なコミュニケーション手段を認識し、活用していくことを目的としている。  コミュニケーションに係る不当な差別的取り扱いの禁止及び合理的配慮の提供については、法の趣旨に内包されているものであり、本対応要領とも相互に関係しあって機能するものとする。 【この対応要領の対象となる職員の範囲について】  対応要領でいう「職員」とは、綾部市職員であって、地方公務員法第3条第2項に規定する一般職(非常勤職員を含む)及び同法同条3項第3号に規定する者のうち嘱託員(嘱託職員)をいう。  具体的には、   ・議会事務部局の職員   ・市長事務部局の職員   ・選挙管理委員会事務部局の職員   ・監査委員事務部局の職員   ・教育委員会事務部局及び教育委員会の所管に属する教育機関の職員   ・公平委員会事務部局の職員   ・農業委員会事務部局の職員   ・消防機関の職員   ・公営企業の職員(※)  である。 ※地方公営企業や、指定管理者制度導入の公共施設に所属する職員は、法の規定上、事業者と位置付けられることから、直接には対応要領の対象とはならないが、同等の対応を求めるものとする。