○綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例 平成29年12月25日条例第39号 綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例 目次 前文 第1章 総則(第1条―第6条) 第2章 手話言語の確立(第7条・第8条) 第3章 多様なコミュニケーション手段の促進(第9条―第14条) 附則  私たちの生活する社会の中には、障害のある人も障害のない人もいます。障害には、多様な種類や特性があり、見た目ではわからない障害もあります。障害のある人の中には、コミュニケーションが困難な状況に置かれてしまい、本人抜きに本人のことを決められてしまう人その他地域社会の一員としての役割を担うことから疎外されてしまう人もいます。  綾部市においては、昭和47年に、手話通訳のできる市職員を配置し、市民による手話サークルも発足するなど、ろう者との手話によるコミュニケーションを先進的に取り組んできました。また、昭和57年には、全国初のろう重複障害者施設が開設され、手話のみならず、障害のある人の多様な障害の特性に応じた意思疎通手段などを通じ、お互いに理解を深め、尊重してきた歴史があります。  こうした中、さらに私たち一人ひとりがかけがえのない個人として尊重されるためには、コミュニケーションの基礎である言語を確立することが大切です。  日本語には音声言語と手話等がありますが、手話は、音声言語に身振りをつけたものなどと誤解されることが多いため、「手話は独立した言語である」との認識を深めていく必要があります。  手話を言語として確立するために、私たちが、手話を使用するろう者の「手話を獲得し」、「手話で学び」、「手話を学び」、「手話を使い」、「手話を守る」ことのできる環境づくりを推進することが重要です。  その上で、障害のある人の多様な障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の存在を認識し、その手段を活用することにより、誰もがコミュニケーションをあきらめることなく、つながり合い、当たり前の生活を営むことが大切です。  このような認識の下、誰もが障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共に安心していきいきと暮らしやすい共生社会を実現するため、この条例を制定します。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関し、その基本理念、市の責務、市民及び事業者の役割並びに施策の基本的事項を定めることにより、その施策を総合的に推進し、もって誰もが障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共に安心していきいきと暮らしやすい共生社会を実現することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 障害のある人 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難治性疾患その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2) ろう者 手話を第1言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。 (3) 合理的配慮 障害のある人が権利利益を侵害されることとならないよう、個々の場面において社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な配慮であって、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。 (4) 社会的障壁 障害のある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (5) 多様なコミュニケーション手段 手話、要約筆記、点字、音声、拡大文字、触手話、指点字、ひらがな表記、サイン、写真及び絵図等の視覚情報を活用した分かりやすい表現その他障害のある人が日常生活又は社会生活において使用する意志疎通の手段をいう。 (6) 事業者 事業を行う個人及び法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)をいう。 (7) コミュニケーション支援従事者 手話通訳士、手話通訳者、要約筆記者その他障害のある人の意思疎通の支援を行う者をいう。 (基本理念) 第3条 手話言語を確立するための施策は、手話が独立した言語であることを認識した上で、ろう者の権利を保障することを基本として行われなければならない。 2 多様なコミュニケーション手段を促進するための施策は、多様な障害の特性又は重複障害の困難性があることを踏まえ、誰もが障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであることを基本として行われなければならない。 (市の責務) 第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する施策を総合的に推進するものとする。 2 市は、前項の施策の推進に当たっては、次に掲げる事項に留意するよう努めるものとする。 (1) 綾部市障害者施策推進協議会の意見を聴くこと。 (2) 市民及び事業者の参加及び協力を得ること。 (市民の役割) 第5条 市民は、基本理念に基づき、市が推進する手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 2 市民は、多様なコミュニケーション手段を活用し、誰もが地域社会の一員として日常生活及び社会生活を営めるよう努めるものとする。 (事業者の役割) 第6条 事業者は、基本理念に基づき、市が推進する手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 2 事業者は、多様なコミュニケーション手段の活用により、誰もが利用しやすいサービスの提供、働きやすい環境の整備その他の合理的配慮を行うよう努めるものとする。 第2章 手話言語の確立 第7条 市は、手話言語を確立するために、ろう者の手話によるコミュニケーションを円滑に図ることができる権利が尊重され、手話が独立した言語であるとの認識が市民及び事業者に定着するよう必要な措置を講じるものとする。 (手話言語の啓発) 第8条 市は、手話が独立した言語であるとの認識及び関心を深めるため、市民及び事業者に対し、必要な啓発に努めるものとする。 第3章 多様なコミュニケーション手段の促進 (コミュニケーションができる環境整備) 第9条 市は、関係機関と協力し、多様なコミュニケーション手段を用いることができる者の確保に努めるとともに、多様なコミュニケーション手段を用いた相談支援等を行うほか、誰もが容易にコミュニケーションができる環境の整備に必要な措置を講じるものとする。 (多様なコミュニケーション手段の活用に関する学習機会の提供) 第10条 市は、障害のある人、コミュニケーション支援従事者、事業者及び関係機関と協力して、多様なコミュニケーション手段の活用に関する学習の機会を市民及び事業者に提供するものとする。 2 市は、事業者が多様なコミュニケーション手段の活用に関する学習の機会を設ける場合において、必要な支援を行うよう努めるものとする。 (多様なコミュニケーション手段を用いた情報発信等) 第11条 市は、誰もが、市政に関する情報、災害時における緊急情報等を速やかに得ることができるよう、多様なコミュニケーション手段を用いた情報発信を推進するものとする。 2 市は、主催する講演会等に必要に応じて手話通訳者又は要約筆記者を配置するほか、多様なコミュニケーション手段を用いることができるよう合理的配慮を行うものとする。 (多様なコミュニケーション手段に関する啓発) 第12条 市は、多様なコミュニケーション手段に関する市民及び事業者の理解を深めるため、必要な啓発に努めるものとする。 (学校等への支援) 第13条 市は、小学校、中学校、幼稚園、保育所、認定こども園等が行う多様なコミュニケーション手段の促進に関する活動を支援するものとする。 (市職員に対する多様なコミュニケーション手段の活用に関する研修) 第14条 市は、市職員に対し、多様なコミュニケーション手段の活用に関する研修を行うものとする。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。 (綾部市障害者施策推進協議会設置条例の一部改正) 2 綾部市障害者施策推進協議会設置条例(平成9年綾部市条例第2号)の一部を次のように改正する。  (次のよう略) 2/4