第4期綾部市障害者計画 令和3年3月 綾部市 障害者計画策定にあたって  綾部市は、平成9年3月に障害者基本法に基づく「綾部市障害者計画〜障害者の住みよいまちづくりの推進を目指して〜」を策定し、平成15年、平成23年の計画改定を経て障害者施策を総合的・計画的に推進するとともに、平成30年4月には「綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例」を施行し、条例の理念である誰もがつながりあえる社会の実現に努めてまいりました。  障害の有無に関わらず、それぞれが社会を構成する一員として尊重し合い、誰もが住みよい地域共生社会の実現を目指すことを基本に、様々な障害者施策を行っております。  本計画は、国・京都府の障害者基本計画を基本に、第6次綾部市総合計画との整合を図るとともに、市民の皆様にご協力いただいたアンケートの結果や綾部市障害者施策推進協議会からの意見を尊重して策定いたしました。  ここに、本計画を第6次綾部市総合計画の部門計画と位置づけるとともに、すべての市民の皆様、関係機関・団体、事業者、行政が自主的かつ積極的に活動を行うための指針として、ともに連携を図りながら、よりよい地域社会になるよう推進してまいります。  最後になりましたが、この計画の策定にあたり、熱心に審議いただきました綾部市障害者施策推進協議会の委員の皆様をはじめ、関係者の皆様に心から厚くお礼申し上げます。 令和3年3月 綾部市長 山崎善也 はじめに 基本的な考え方 1 計画策定の趣旨  綾部市では、障害者基本法第11条第3項に基づき、平成9年3月に「綾部市障害者計画〜障害者等の住みよいまちづくりの推進を目指して〜」を策定し、障害者施策の推進を図り、平成15年3月、平成23年3月の計画改定を経て現在に至っています。  この間、国においては、平成28年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され、社会的障壁の除去と合理的配慮の提供を明記したほか、同時に施行された「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」においても、雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止する旨が規定されるなど、平成26年1月に批准した「障害者の権利に関する条約」の着実な実現に向け各種法整備がされてきました。  京都府においては、平成26年3月に制定された「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」により、共生社会の推進に関し基本理念などを定め、さらに、平成30年3月に制定された「言語としての手話の普及を進めるとともに聞こえに障害のある人とない人とが支え合う社会づくり条例」では、「聞こえの共生社会」の推進を目指しています。  本市においても、平成30年4月に「綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例」を施行し、誰もがコミュニケーションをあきらめることなくつながり合える社会を目指し、条例の理念浸透に努めてきました。  このような中、現在の国・京都府の動向や本市の障害児者の状況などを踏まえ、障害者のための施策に関する基本的な計画として、令和3年度を初年度とした「第4期綾部市障害者計画」を策定することとしました。 2 計画の基本理念  本市では、上位計画である「第6次綾部市総合計画」において、「一人ひとりの幸せをみんなで紡いで実現できるまち…綾部」をまちの将来都市像として設定し、一人ひとりがお互いに顔の見える関係を築きながら、このまちで良かったと市民が幸せで安心して暮らせるよう、きめ細やかなまちづくりを進めています。  また、「綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例」の目指す方向を受けて、「誰もが障害の有無にかかわらず、お互いに尊重し合い、つながり合える共生社会の実現」を本計画の基本理念とします。 〔基本理念〕 誰もが障害の有無にかかわらず、お互いに尊重し合い、つながり合える共生社会の実現 3 計画の性格  障害者計画は、本市の障害者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画であり、市民、関係機関・団体、事業者、市(行政)が、それぞれに自主的かつ積極的な活動を行うための指針となる計画で、障害者基本法第11条第3項に基づく「市町村障害者計画」として位置づけています。  策定に当たっては、京都府障害者基本計画、京都府障害福祉計画及び京都府障害児福祉計画並びに上位計画である綾部市総合計画及び綾部市地域福祉計画における障害者施策との整合性を図りました。 4 計画の対象となる障害者の範囲  この計画で対象となる「障害のある人」は、障害者手帳の有無やその程度などに関係なく、障害者基本法第2条に定義される「障害者」であり、「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける人」です。   この中には「発達障害者」、「高次脳機能障害者」、「てんかんのある人及び難病に起因する身体又は精神上の障害のある人であって、継続的に生活上の支障がある人」も含んでいます。 5 計画の期間  障害者計画は、第6次綾部市総合計画に準拠し令和3年度から12年度までの10年間を計画期間とします。  なお、本計画第4章に定める推進、点検により必要が生じた場合には、計画の見直しを行うことがあることとします。 第1章    基本的視点と重点課題 1 障害の概念と基本的な視点  綾部市の中には障害のある人が3千人以上います。  その障害の種別や内容、程度は様々で一人ひとり違いがありますが、社会で普通の暮らしをしようとする際に多くの困りごとに直面しています。  障害のある人にとっては、心身の機能の制限や不調により、困りごとを感じることもありますが、社会の仕組みが日常生活や社会生活を営む上で大きな困りごと(社会的障壁)となっています。  心身の機能の制限や不調などは医療やリハビリテーションのみで全て解消することは困難で、また本人や家族の責任でも、努力の問題でもありません。  一方社会的障壁は、社会における事物、制度、慣行、観念などにより大きく変わり、障害のある人の困りごとはこれらに大きく左右されています。  私たちの中に多くの困りごとに直面する人たちがいて、その原因の多くは私たちが構成する社会の仕組みにあるといえます。  このため、様々な分野において社会的障壁を除去・軽減できるよう私たち自身が行動する必要があります。  障害がある人の中には、内部障害や精神障害、発達障害など、障害の種別によっては見た目ではわからない障害もあり、周囲に認識されないまま困りごとに直面している人もいます。  また、杖をついて歩行している人、車いすを使用している人、難聴の人、手話を使う人など、心身の障害の程度の違いに関係なく、それぞれに困りごとを抱えています。  このように私たちの社会の中にはいろいろな人がいることを前提として、個々の多様性を認め合い、理解を深めていく必要があります。  その一方で、「一人ひとりの命の重さは障害の有無によって少しも変わることはない」という当たり前の価値観を私たちが共有し、誰もが尊重し合える社会にしていく必要があります。  共生社会の実現に向け、多様性を認め合うこと、誰もが尊重されること、この2つの視点を持ち、施策の推進を図ることが重要となっています。 2 計画における重点課題と留意点 (1)相談支援体制の強化   障害のある人が、地域で暮らし続けるための仕組みとして、障害福祉サービスの提供体制の確保とともに、障害者相談支援事業所において、相談支援体制を強化します。  障害のある人の人権を尊重し、複雑化・多様化する生活課題にも対応しながら、一人ひとりの障害状況や特性に応じた専門性の高い、重層的な支援体制の構築に取り組みます。 (2)「綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例」の推進   「綾部市手話言語の確立及び多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例(以下「手話コミ条例」という。)」の理念に基づき、手話が独立した言語であるとの認識のもと、音声言語である日本語と同様に、自分の言葉として手話が当たり前に使うことのできる社会の実現を目指します。また、障害の多様性や重複障害の存在を認識し、それぞれの特性に応じた多様なコミュニケーション手段を活用することにより、お互いに尊重し合い、つながり合える共生社会を目指しています。 (3)地域共生社会の実現   私たちが生活する社会の中には、障害のある人も、障害のない人もいるという認識のもと、それぞれが社会を構成する一員として尊重し合い、誰もが住みよい地域共生社会の実現を目指します。  また、生活上の困難を抱える人でも、地域において自立した生活を送ることができるよう、地域住民による支え合いと行政による支援が連動し、地域を丸ごと支える包括的な支援体制を構築し、切れ目のない支援を実現していきます。 第2章    障害者を取り巻く現状 1 統計データからみえる綾部市の現状 (1)障害のある人の状況  @ 人口、障害者手帳所持者の推移  本市の総人口は、令和2年3月31日現在33,006人で、年々減少しています。  障害者手帳所持者は、令和2年3月31日現在3,189人で、平成28年度以降増加しており、人口総数に占める障害者手帳所持者の割合も9.7%と増加傾向にあります。 A 障害者手帳別の所持者の推移  障害者手帳別の所持者の推移をみると、身体障害者手帳所持者は平成28年度以降増加傾向にあり、令和2年3月31日現在2,602人となっています。  また、療育手帳所持者は年々増加しており、令和2年3月31日現在410人となっています。精神障害者保健福祉手帳所持者は増加傾向にあり、令和2年3月31日現在177人となっています。 (2)身体障害者の状況 @ 身体障害者手帳所持者の等級別推移  身体障害者手帳所持者の等級別の推移をみると、4級の手帳所持者が731人で最も多く、次いで1級の手帳所持者が623人となっています。また、平成26年度と比較して2級以外の手帳所持者は増加しています。 A 障害の種類別身体障害者手帳所持者の推移  身体障害者手帳所持者の障害の種類別の推移をみると、肢体不自由が1,260人(48.4%)と最も多く、次いで内部障害が766人(29.4%)となっています。また、この二つを平成26年度と比較すると、肢体不自由の手帳所持者は減少しているのに対し、内部障害の手帳所持者は増加しています。 (3)知的障害者の状況 障害の程度別療育手帳所持者の推移  療育手帳所持者の程度(判定)別の推移をみると、A判定、B判定共に手帳所持者は増加傾向にあります。 (4)精神障害者の状況 @ 精神障害者保健福祉手帳所持者の等級別推移  精神障害者保健福祉手帳所持者の等級別の推移をみると、3級の手帳所持者は増加傾向にあり、1級の手帳所持者は減少傾向にあります。 A 自立支援医療(精神通院)受給者の推移  自立支援医療(精神通院)受給者の推移をみると、平成29年度以降増加傾向にあります。 (5)難病患者などの状況 特定医療費(指定難病)受給者の推移  特定医療費(指定難病)受給者の推移をみると、令和元年6月30日現在268人で、平成26年度から平成29年度にかけて増加し、その後減少しています。 (6)障害のある児童の状況 障害のある児童の推移  障害のある児童の推移をみると、平成26年度と比較して、身体障害者手帳所持者は、令和2年3月31日現在19人と増加しています。療育手帳所持者も、令和2年3月31日現在51人で、増加しています。 (7)特別支援学級在籍児童・生徒の状況  特別支援学級在籍児童・生徒の推移  特別支援学級在籍の児童・生徒の推移をみると、小学校の児童では、令和元年5月1日現在62人で、年々増加しています。中学校の生徒では、令和元年5月1日現在25人で、平成26年度と比較して増加しています。 (8)特別支援学校在籍状況  特別支援学校在籍者の推移  特別支援学校(京都府立中丹支援学校)在籍者の推移をみると、小学生は令和元年5月1日現在5人で、減少傾向にあります。また、中学生は令和元年5月1日現在6人で、平成26年度から平成28年度にかけて増加し、その後減少しており、高校生は令和元年5月1日現在19人で、平成26年度から平成30年度にかけて減少し、その後増加しています。 (9)就労の状況  障害者就業者の推移  障害者就業者の推移をみると、増加傾向にあり令和元年度で239人となっています。障害種別でみると、知的障害が最も多く、次いで身体障害、精神障害となっています。 (10)障害支援区分認定者の状況  障害支援区分認定者の推移  障害支援区分認定者の推移をみると、令和2年3月31日現在、区分4が15人で最も多く、次いで区分3が14人となっています。 2 アンケート調査からみえる綾部市の現状 (1)希望する暮らし方   現在、どのような暮らしをしたいと思っているかについて、障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「現状のままでよい」の割合が、精神障害で「支援を受けながら一人で暮らしたい」の割合が高くなっています。また、知的障害で「家族のいる自宅で暮らしたい」の割合が高くなっています。 (2)外出の際に困ること   外出の際に困ることについて、障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「利用する建物や乗り物の設備(段差、トイレ、エレベーターなど)が不備」の割合が、精神障害で「経費がかかる」「人の目が気にかかる」「人と話すことが困難」の割合が高くなっています。障害のある児童では「子どもは大勢のところや騒がしいところが苦手」「人の目が気にかかる」の割合が高くなっています。 (3)災害のときに困ること   災害のときに困ることについて、障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「避難場所まで行けない(坂や階段がある、避難場所が遠いなど)」の割合が、精神障害で「近所に頼れる人がいない」の割合が高くなっています。また、知的障害で「避難場所がわからない」「避難場所でのコミュニケーションが不安」の割合が高くなっています。  さらに、障害のある児童では、「子どもが避難場所で大勢の中で過ごせるか不安」の割合が高くなっています。 (4)「障害者差別解消法」の認知度   「障害者差別解消法」の認知度について、障害種別でみると、他に比べ、知的障害で「法律の名前も内容も知らない」の割合が高くなっています。 (5)各障害者で構成された関係団体への参加意向   各障害者で構成された関係団体への参加意向について、障害種別でみると、他に比べ、精神障害で「入ってみたい」の割合が高くなっています。 (6)障害者団体に加入したくない理由   障害者団体に加入したくない理由について、障害種別でみると、他に比べ、精神障害で「体調や健康に不安があるから」の割合が、知的障害で「忙しいから」「知っている人がいないから」「コミュニケーションが困難だから」の割合が高くなっています。また、身体障害、精神障害で「外出が困難だから」の割合が、精神障害、知的障害で「人づきあいが苦手だから」の割合が高くなっています。 (7)障害者福祉分野での希望する取組  @ 障害者(18歳以上)  障害者福祉分野での希望する取組について、障害種別でみると、障害者(18歳以上)では、他に比べ、身体障害で「災害時、緊急時の情報提供、通信体制、避難誘導対策の充実」の割合が、精神障害で「仕事につくことを容易にするための障害者雇用制度の充実」の割合が高くなっています。また、知的障害で「福祉的に配慮された働く場や活動の場の確保(障害者の通所施設等)」「障害者が安心して生活できる入所施設の整備」の割合が高くなっています。 A 障害児(18歳未満)  障害者福祉分野での希望する取組について、障害児(18歳未満)では、「年金、手当などの経済的援助の充実」の割合が最も高く、次いで「通所サービス事業所等の福祉的に配慮された働く場や活動の場の確保」「仕事につくことを容易にするための障害者雇用制度の充実」「就労・就学の場でのコミュニケーション支援の充実」となっています。 3 前計画の評価及び課題  本市の障害児者を取り巻く課題を、アンケート調査結果、事業の実施状況から、前計画の主要部分ごとに整理しました。 「主要部分1.住みよいまちづくりの推進」についての課題  本市では、交流や理解学習を通じた研修、教育、啓発活動を支援してきましたが、アンケート調査結果をみると、障害や障害のある人への理解が進む中で、「地域の行事や集まりの場」「販売店や飲食店などのお店」での障害に対する理解が深まっていないと感じる障害のある人も多く、障害者差別解消法の認知度について内容まで知っている割合は、各障害ともに数%に止まっています。  このことから、障害者差別解消法や手話コミ条例の目的とする共生社会の実現の視点からも、市民の障害への理解を深め、差別や偏見の解消のため周知啓発を継続するとともに、障害のある人が積極的に社会活動に参画できるよう配慮することが求められます。  また、公共施設や道路、交通の環境整備及び改善に努めてきましたが、アンケート調査結果をみると、外出する際の困りごとについては、全ての障害種別で「交通機関の利用が不便(バスの本数、駅から遠いなど)」が最も多く、身体障害では「利用する建物や乗り物の設備(段差、トイレ、エレベーターなど)が不備」の割合も高くなっています。  このことから、障害のある人が、安心して移動できるためには、誰もが安全・安心に外出できるよう、交通の利便性や施設整備の充実を図ることが求められています。  さらに、障害のある人に配慮した防災、防犯対策などについてアンケート調査結果をみると、身体障害で「災害時、緊急時の情報提供、通信体制、避難誘導対策の充実」が求められています。  災害のときに困ることについて、身体障害では、「避難場所まで行けない(坂や階段がある、避難場所が遠いなど)」が20.0%と高く、次いで「避難場所で介助や医療的ケアなどが受けられるか不安」が17.6%、知的障害では、「避難場所でのコミュニケーションが不安」が36.3%と最も高く、次いで「避難場所がわからない」が16.8%、精神障害では、「避難場所でのコミュニケーションが心配」が21.8%と最も高く、次いで「避難場所で介助や医療的ケアなどが受けられるか不安」が19.2%となっています。  そのため、災害発生時における避難行動に支援が必要な人に対して、地域の人々が協力して助け合う共助の推進に取り組む視点と、障害の特性に応じた配慮の視点をもち、その在り方について検討する必要があります。 アンケートにあった主な意見 * 飲食店で車いすでの入店を断られて以来、迷惑にならないように行かないようにした。(身体) * 仕事をがんばる気力は充分にあっても通勤手段が無く、就労を諦めてしまう人が多くいるのではないか。地域に密着した交通機関の充実を希望する。(知的) * 人の多い所がとても疲れる。(知的) * 精神障害は人から見てわからないため、理解や協力が得られにくい。(精神) * 音に敏感なため電車、スーパーなどとてもうるさく感じる。(精神) * 障害があっても近所の子ども同士で遊べると良い。(児童) 綾部市障害者施策推進協議会及び綾部市障害者地域自立支援協議会での主な意見 * 災害時の問題で日ごろから地域の人たちとコミュニケーションを取ることは、大変重要。障害をもっている人について自治会や組内で知ってもらう為にも、日ごろの挨拶や地域の行事に参加など常に外に出る事が大切。 * 避難所で聴覚障害者が安心して情報が得られるよう、音声だけではなく、視覚での情報伝達などの工夫が必要。 * 発達障害や精神障害など、見えにくい障害だからこそ、正しい知識や対応を多くの人に知ってもらいたい。 「主要部分2.福祉、保健、医療、教育の充実」についての課題  各種障害福祉サービスの提供については、就労継続支援B型事業所やグループホームなどが充実してきたものの、なお不足している状況であり、行動援護や短期入所などのサービスについては受け入れ事業所や受け入れ体制が不十分で必要なサービスが提供できていないという課題があります。  相談体制についても、障害者相談支援事業所を充実させるなどの対応をしているところですが相談内容は深刻なものや、困難ケースが多く十分に受け止めきれていない現状があり、更なる強化が求められています。  また、訪問生活介護など重症心身障害児者の地域生活を支える施策も展開していますが、重症心身障害児者の施設が近隣になく、施設入所や短期入所を利用しにくい課題があります。  本市では、発達期における乳幼児の障害に対しては、早期発見・早期療育に努めてきたところで、アンケート調査においても、知的障害が判明した年齢については「0歳〜5歳」(44.2%)が最も多く、次いで「6歳〜12歳」(23.0%)となっています。知的障害が判明した経緯についてみると、「学校の先生から言われた」(22.1%)が最も多く、次いで「出生時や出生前診断により医師から言われた」(18.6%)、「乳幼児健診で言われた」(14.2%)となっています。  今後も、乳幼児期における健康診査などにおいて、疾病・障害や育児困難など、子どもの成長や発達に影響を与える事項の早期発見に努めるとともに、未受診者の把握に努め、受診を促していくなどの体制及び連携の強化が更に求められます。  一方、身体障害のある人の年齢については、手帳交付者数でみると65歳以上が84.8%と高齢化が顕著になっています。  今後も、障害のある人の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据え、障害のある人の生活を地域全体で支える地域生活支援拠点などの整備が求められています。障害のある児童・生徒の教育に必要なことについて問う設問では、「教育・保健・医療・福祉等の関係機関の連携」が75.0%で最も多く、次いで「児童・生徒の個々のニーズに応じた学習指導の充実」が68.8%、「特別支援教育の理解・啓発の推進」が65.6%となっています。  本市の小・中学校では、学校生活において学習支援や介助が必要となる児童生徒に適切に対応するため、特別支援教育支援員及び介助員を独自に配置してきました。今後も、障害の状況や教育ニーズに応じた適切な指導を提供できるようにするため、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校という多様な学びの場のそれぞれの充実を図り、インクルーシブ教育を推進していく必要があります。また、子どもたちが希望を持って生涯を過ごすことができるよう、就学前から卒業後にわたる切れ目ない指導と支援、発達に関する相談、進路選択における相談支援を行う体制整備の充実が求められています。  また本市では、障害のある児童生徒の継続的な療育と保護者の負担軽減のための施策を充実させるとともに、医療的ケアを要する障害児者の地域生活を支援するため、施策を展開してきましたが、今後も関係機関と連携した包括的かつ重層的な支援体制の充実と、児童発達支援や放課後等デイサービスなど障害児福祉サービスの充実が望まれます。 アンケートにあった主な意見 * 障害者相談支援事業所は充実しつつあるが、まだ必要な人に必要な情報が十分には行き届いていないと思う。(知的) * グループホームの生活も地域での生活もどちらもできるべき。(知的) * 親が高齢になると障害のある子どもの将来のことが心配で、考えない日はない。(知的) * 綾部市に重度障害者でも利用できる、医療機能のついた入所施設ができて欲しい。(知的) * 医療的ケアのできる短期入所施設が遠方で、本人や家族の負担が大きく、預けることを諦めてしまう。(知的) * 早期療育できる場所が少なく、遠くに行かなければならない。(児童) * 療育教室(あいむ)の受け入れ体制の充実や就学後も通える療育の場の整備をしてほしい。(児童) * 子どもの発達段階に応じて現れる悩みなどを、就学前もその後も継続して相談できる場所がほしい。(児童) * 障害があっても地域の学校へ通わせたい。(児童) * 地域の小学校に1、2年生の時通学させてもらって、同学年や他学年の子たちとの関わりをもたせてもらえて貴重な2年間を過ごせた。(児童) * 特別支援学級以外の先生方にも、もう少し発達障害について知識を持ってもらいたい。(児童) 綾部市障害者施策推進協議会及び綾部市障害者地域自立支援協議会での主な意見 * 地域で、当たり前に暮らし続けたいと思われていても、在宅サービスや施設サービスが乏しいために他地域へ移らざるを得ない人がおられることが、一番の課題と思う。 * 身体障害にとって、リハビリは不可欠なものです。大きくなれば、少しでも生活しやすいように筋緊張や骨の変形の予防、成長過程では、関節の痛みなど、身体のみならず不安を継続的に相談できる所があると有難い。 * 学齢期になってから学習障害などの症状が明らかになったり、保護者の認識が変わることで支援につながるケースも多い。舞鶴こども療育センターの初診は半年待ちとなるなど、それまでに綾部市内で子どもの発達の相談やアセスメントを行える機関やシステムの構築が望まれる。 「主要部分3.社会参加の促進」についての課題  障害のある人が地域で働ける場の確保と就労の定着について、アンケート調査結果からは精神障害で「仕事につくことを容易にするための障害者雇用制度の充実」を求める割合が高くなっているとともに、知的障害で「福祉的に配慮された働く場や活動の場の確保(障害者の通所施設等)」を求める割合が高くなっています。  このことから、障害のある人の働く場を確保するため、公共職業安定所や障害者就業・生活支援センターと連携し、就労につなげる支援体制を充実させるとともに、多様な働き方を保障する福祉的就労の場の充実が求められています。  また、スポーツ・レクリエーションや文化活動は生活をより豊かにし、障害のある人の生きがいや社会参加の促進につながることから、これらの充実により障害のある人とない人が相互の理解を深めるとともに、障害のある人の生活の質の向上を図り、能力や個性、意欲に応じて積極的に社会参加できる環境を推進していくことも求められています。  さらに、障害当事者の団体活動も、会員相互の交流や市民啓発などに重要な役割を担っており、その活動内容などを積極的に周知することが必要です。 アンケートにあった主な意見 * 以前勤務していた会社では病気を説明したが理解されなかった。(身体) * 安心できる生活費を得るために、作業所など(福祉的就労の場)での工賃を最低賃金にしてほしい。(身体) * 職場で上司が異動すると自分の障害について理解してもらうのに時間がかかったり、誤解されたりした。(知的) * 卒業後、綾部市内で働きたい。(知的) * 障害者雇用の枠を拡大してほしい。(精神) * 綾部市内にもA型事業所や、多くの障害者雇用をしてくれる会社がたくさんあるとありがたい。(精神) * 同じ障害や病気の家族同士の交流の場があると嬉しい。(児童) 綾部市障害者施策推進協議会及び綾部市障害者地域自立支援協議会での主な意見 * 就労支援・定着支援の制度が充実していますが、その制度の利用が少なく思われる。 * 一般就労し、一定継続して働いている障害のある人たちは、支援の手が、途切れてしまう場合が多いと思います。家庭と、職場との往復で一日が終わり、話や相談する機会が少ないことで様々な問題を抱えている方が多い。 * 精神保健福祉におけるピアサポートや家族支援、発達障害支援のペアレントメンターなどの重要性が強調される中で、当事者および家族がまとまっての発信が地域的にかなり難しくなっているように感じる。 「主要部分4.推進体制の整備」についての課題  介護・福祉人材の確保を進めるため、若年層を含む幅広い年代が福祉の仕事に魅力を抱き関心を深めてもらうよう働きかける必要があります。そのためには、子どもや学生などが福祉施設において、直接障害のある人と交流するような地域交流の場や体験型学習、職場体験などを行い、障害のある人とのふれあいを通し、障害に対する理解を促進することが必要です。  人材の育成に当たっては、障害がある人の人権を尊重し、一人ひとりの障害状況や障害特性に応じた専門性の高い支援が提供できるスキルアップの機会が重要です。 アンケートにあった主な意見 * 福祉フロンティアのおかげで、この地で暮らしていける。(身体) * 障害者に携わる関係者(職員、教員)のレベルアップをしてほしい。(知的) * 精神障害により買い物や食事などで辛い時があり、ヘルパーなどにより、日常生活をサポートしてもらいたいが充実していない。(精神) * 相談した職員の方の知識がなく、こちらが詳しい説明をしなければならなかった。(児童) 綾部市障害者施策推進協議会及び綾部市障害者地域自立支援協議会での主な意見 * 必要とされる事業も人材不足でできない状況。日中活動の作業所でも人が不足しているが、グループホームやヘルパーなど不規則な勤務になる事業の募集は大変難しくなっている。 * 次世代を担う若者への仕事内容などの啓発や、市として魅力ある福祉みたいな情報をホームページ、SNS、動画配信などを通して売り込んでいってはどうか。 * 障害児者支援は、“体力が必要”“むずかしい”というイメージがあるようだ。一方で、障害への正しい理解が乏しい支援者がいる実情も、別の課題としてある。この両面の解決につながる取組として、障害児者に関わっておられるヘルパー向けなどの研修を開いてみるのも良いのではないか。 障害児者福祉施策に求められていること  特に求められる施策については、身体障害で「災害時、緊急時の情報提供、通信体制、避難誘導対策の充実」を求める割合が高く、年金、手当などの経済的援助の充実、障害のある人への差別の解消・理解の促進、障害のある人が暮らしやすい生活環境の整備、障害者福祉関係の情報提供の充実などを求める記述が多く見られました。  精神障害で「仕事につくことを容易にするための障害者雇用制度の充実」を求める割合が高く、市役所など相談窓口の充実、年金、手当などの経済的援助の充実などを求める記述が多く見られました。  知的障害で「福祉的に配慮された働く場や活動の場の確保(障害者の通所施設等)」「障害者が安心して生活できる入所施設の整備」を求める割合が高く、障害のある人が安心して生活できる入所施設の整備、障害者福祉関係の情報提供の充実などを求める記述が多く見られました。  障害のある児童で「年金、手当などの経済的援助の充実」を求める割合が高く、障害のある子ども向けの教育施設や一時預かりの充実、障害のある人が暮らしやすい生活環境の整備などを求める記述が多く見られました。 第3章    分野別施策の基本計画 1 障害及び障害者理解の促進、権利擁護等の推進  年齢や障害の有無などにかかわらず、お互いに理解と信頼を深め、共に助け合いながら暮らしていく共生社会の実現を目指し、ノーマライゼーション理念の普及・啓発に努め、差別の解消と相互理解を促進します。また、障害者団体、ボランティアなどとの連携を図り、障害のある人がいきいきと生活できる環境づくりを推進します。  加えて、判断能力に不安のある知的障害者や精神障害者の権利を守るため、成年後見制度の利用促進に努めます。 (1)啓発活動の推進   障害やこころの健康に関する正しい理解と認識を得るために、効果的な普及・啓発活動の推進に努めます。 啓発活動の推進 市広報紙、市のホームページ、FMいかるなどを活用し、障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を得るための啓発を行います。 講演会などを通じて、こころの健康づくりに対する普及・啓発を行います。 精神障害についての誤解や偏見を払拭するとともに、発達障害や高次脳機能障害についての正しい理解と認識を得るため、関係団体と協力し啓発を行います。 (2)地域・家庭・学校・職場における福祉教育の推進   障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を深めるため、地域・家庭・学校・職場において福祉教育や差別解消の取組を推進します。 地域・家庭・学校・職場における福祉教育の推進 小・中学校などにおいて、障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を深める福祉教育の推進を図ります。 地域・学校・職場などにおいて実施される、障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を得るための研修に講師派遣などの支援をします。 障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を得るための資料の作成・配布などにより、家庭などにおける理解啓発に努めます。 (3)交流ふれあいの場の充実   障害のある人とない人が地域でともに暮らす中で、お互いの理解を深めるため、住民同士の地域交流を促進し、すべての人が交流できる機会や場を拡充するとともに、障害のある人が地域の様々な場に参加しやすい環境づくりを進めます。 交流ふれあいの場の充実 特別支援学校などと地域の学校などとの交流の機会をもち、障害についての正しい理解と認識を深めます。 障害のある人とない人が一緒に楽しめるスポーツ大会や、障害者作品展を開催し、障害のある人に対する理解を広め、障害のある人とない人の積極的な交流を図ります。 障害福祉サービス事業所が地域に根ざし、親しまれるよう、イベントなどによる住民とのふれあいや交流事業を積極的に支援します。 (4)権利擁護等の推進(差別解消・虐待防止含む)   障害を理由とする差別の解消に向け、理解不足などの社会的な障壁を解消していく取組を進めるとともに、様々な合理的配慮などに向けた取組を進めます。  また、障害のある人に対する意思決定支援を踏まえた自己決定を尊重するとともに、成年後見制度の適切な利用を促進します。 権利擁護等の推進(差別解消・虐待防止含む) 障害者差別解消法の理念の理解浸透に努め、合理的配慮や事前的改善措置の推進に努めます。 障害者差別解消支援地域協議会において、障害を理由とする差別に関する相談や協議を行うとともに、事案の共有を図ります。 判断能力に不安のある知的障害者や精神障害者の権利を守るため、成年後見制度が適切に利用できるよう、関係機関が連携し支援できる仕組みを検討します。 市の職員が障害のある人に対して適切な応対をしていくための指針として策定した職員対応要領を活用し、市職員への意識の啓発を図ります。 綾部市障害者虐待防止センターにおいて、虐待通報等の受理、虐待を受けた障害者の保護、障害者虐待の防止に対する広報・啓発活動等を実施します。 2 自立した生活の支援  住み慣れた地域や家庭で障害のある人が暮らせるよう、一人ひとりの多様な障害の特性や程度、多様なニーズに対応した障害福祉サービスの充実を図るとともに、グループホームなど地域における生活基盤の整備に引き続き取り組みます。  また、障害のある人が気軽に身近な場所で相談ができ、適切な支援が受けられるよう、障害者相談支援事業所の体制充実・強化を図ります。 (1)障害福祉サービスの充実   障害のある人のニーズに応じて、日常生活又は社会生活を営む上での支援を行うとともに、サービスの提供体制の充実を図ります。 障害福祉サービスの充実 障害のある人が地域で生活できるよう、居宅介護などの訪問系サービスの充実を図ります。 障害のある人の希望や障害特性に応じた活躍の場が提供できるよう、生活介護、就労継続支援などの日中活動系サービス基盤の拡充に努めます。 障害を補ったり、日常生活上の不便を軽減できるよう、補装具費や日常生活用具を支給します。 (2)相談体制の強化・充実   保健・医療・福祉の関係機関などとの連携強化や障害者相談支援事業所の体制充実、インターネットなどを活用した相談支援など、障害のある人が相談しやすい体制の整備、充実を図り、多様な相談内容やニーズに応えます。 相談体制の強化・充実 障害のある人の保健・医療・福祉・教育・就労などに対する幅広いニーズを把握し、適切な支援へつなぐ障害者相談支援事業所の充実を図り、基幹相談支援センターによるサポートを行います。 障害者相談員による相談やピア(当事者)カウンセリングなどの充実を図ります。 パソコンやタブレットによる遠隔面談など、コロナ禍における新しい相談方法も積極的に取り入れ、障害のある人の便宜を図ります。 (3)自立と社会活動への参画の支援   障害のある人の多様な可能性を最大限に生かし、地域において自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、関係機関などとの連携に努め、共生社会の理念浸透と地域生活の支援を行います。 自立と社会活動への参画の支援 私たちの中には障害のある人もいることを念頭に、誰もがつながりあえる社会を目指して手話コミ条例の理念の浸透を図ります。 医療機関や施設と十分連携し本人の気持ちに寄り添いながら入院・入所中の障害のある人の地域生活移行に向けた支援を行います。 障害のある人の社会生活を支援するため、障害や障害のある人に対する正しい理解と認識を得るための啓発を行うとともに、サロン活動など障害当事者や支援団体が実施する取組を支援します。 (4)住まいの場の確保のための施策の充実   グループホームの整備や施設入所の支援、居住する家屋のバリアフリー化など、障害の特性に応じた住まいの場についての支援を行います。 住まいの場の確保のための施策の充実 障害のある人が地域で安心して生活できるよう、地域生活支援拠点の整備を進めます。 障害のある人が地域で安心して生活できるようにグループホームの整備について支援を行うとともに、アパートなどでの単身生活を体験できる環境整備も検討します。 在宅での生活を継続するための住宅のバリアフリー化に対して支援を行います。 在宅生活が困難な障害のある人の施設入所について、受け入れ可能な施設と日ごろから連携を図り、スムーズに利用ができるよう努めます。 (5)障害が重度重複している人への対応   医療的ケアを必要とする人や、複数の障害が重複している人などに対し、その特性に応じた適切な支援を行うとともに、介助を行う家族の負担軽減を図ります。 障害が重度重複している人への対応 身体障害と知的障害など、障害が重複することで生じる困難性などに適切に対応し、必要なサービス提供などの支援をします。 医療従事者との意思疎通が図れない重度の障害のある人が入院した場合、コミュニケーション支援員を派遣し、医療従事者との意思疎通が図れるようにするとともに、介助を行う家族の負担軽減を図ります。 生活介護などの事業所に通所が困難な重度の障害のある人の自宅や入院先に訪問援助員を派遣し日中活動の機会を提供します。 医療的ケアなどを必要とする重度の障害のある人を受入れられる短期入所施設などが近隣に設置されるよう関係機関及び関係団体に対し積極的に要望します。 (6)障害のある高齢者への対応   障害のある人の高齢化に伴う支援や、高齢者が要介護状態にならないよう介護予防事業の充実を図るとともに、地域包括支援センターや保健所などと連携し、心身の健康管理についての適切な対応・指導を行います。 障害のある高齢者への対応 介護保険の対象外の高齢者に対する配食サービス・訪問理美容サービスなどの生活支援事業や心身機能の維持向上を図る介護予防事業を実施します。 地域包括支援センターや保健所などと緊密に連携し、相談支援体制の充実を図ります。 保健師などの相談・訪問指導により高齢者や介助者の健康管理について適切な指導を行います。 (7)生活安定のための援護施策の充実   障害のある人やその家族を対象とする手当の支給や医療費などの公費負担制度により、障害に伴う経済的負担の軽減を図ります。また、生活に困窮する世帯には生活保護制度などによる経済的援助を行います。 生活安定のための援護施策の充実 福祉医療費支給事業などの医療費公費負担制度により重度障害者の医療費の負担軽減を図ります。 特別障害者手当・障害児福祉手当・特別児童扶養手当などを支給し、障害のある人及びその家族の経済的負担の軽減を図ります。 医療費や補装具費などの自己負担金を減額する措置を行うことにより、障害に伴う特別な経済的負担の軽減を図ります。 障害があることによって、就労の機会を得ることが困難であることなどにより、経済的に困窮した世帯に対しては、綾部市社会福祉協議会などの関係機関や関係団体と連携し、生活困窮者自立支援法による自立相談支援事業や就労準備支援事業などにより支援します。また、生活保護制度による経済的な援助を行い、日常生活や社会生活の自立に向けて支援します。 (8)制度施策の周知の充実   障害のある人が利用できる障害福祉サービスやその他のインフォーマルなサービスについて、情報提供とともに周知を図り、適切な利用を促進します。 制度施策の周知の充実 障害者相談支援事業所とも連携し、各種福祉制度などが適切に必要とする障害のある人に紹介できるように努めます。 インフォーマルなサービスについても情報収集し、必要とする障害のある人へ助言、情報提供を行います。 3 保健・医療の推進  生涯を通じて必要な保健・医療サービス、リハビリテーションが受けられる体制づくりを目指すとともに、障害のある人が身体の健康保持や増進に必要な支援を受けることにより、自らの「健康」や「体力」について、現在よりも安心感が得られるよう、継続した保健・医療及び福祉サービスの充実を図り、自立生活に向けた支援体制を構築します。  また、精神障害のある人が地域で自立した生活が送れるよう、相談支援事業や訪問指導を行い、地域包括ケアシステムの構築を図ります。 (1)啓発活動の充実   誰もが健やかに地域において生活できるよう、保健・医療に関する啓発活動を通じて障害の特性や配慮事項などの正しい理解と認識を深めます。 啓発活動の充実 障害のある人の地域生活移行を図るため、保健・医療・福祉の関係機関と緊密に連携し、地域において障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を得るための啓発活動の充実を図ります。 保健・医療分野における各種の講座や相談事業を通して障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を得る啓発活動を実施します。 (2)早期発見・早期治療及び療育対策の充実   適切な療育指導を行うため、医療機関などと連携し、疾病や障害などの早期発見・早期治療及び療育を推進します。 早期発見・早期治療及び療育対策の充実 発達に支援の必要な子どもの早期発見・早期療育を行い、継続的にフォローができるこども発達支援拠点の整備を検討します。 障害の早期発見・早期治療を図るため、妊婦健康診査や乳幼児健診などの充実に努めます。 障害のある乳幼児、児童を早期に発見し、適切な療育指導につなげるため、乳幼児健康診査、こどもクリニック、すこやかクリニック、発達相談及び療育教室などとの連携、充実を図ります。 発達障害などの早期発見・早期療育を図るための発達障害児早期発見・早期療育支援事業について、関係機関と十分連携し充実を図ります。 障害のある乳幼児の発達相談や育児に不安を持つ保護者の相談に応じられるよう、相談・助言・指導などの支援体制を充実させます。 (3)リハビリテーション体制の充実   障害のある人で訓練が必要な人などに対し、医療・保健・福祉・教育分野の関係機関が連携を図り、リハビリテーション体制を充実します。 リハビリテーション体制の充実 障害のある人が必要なリハビリテーションを受けられるよう、理学療法士などを招いて機能訓練教室を開催します。また四肢のみならず、視覚や聴覚、言語などのリハビリについても提供体制について検討します。 中丹地域リハビリテーション支援センターを中心に、医療・保健・福祉・教育分野の関係機関の連携を図り、リハビリテーション提供体制の充実を図ります。 (4)公的医療制度の充実   障害のある人に対し医療費の支給を行い、その心身の障害の状態や経済的な負担の軽減を図ります。 公的医療制度の充実 福祉医療費支給事業などの医療費公費負担制度により重度障害者の医療費の負担軽減を図ります。 自立支援医療及び障害者自立支援医療特別対策費支給事業により、心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療費を支給します。 (5)精神保健相談・指導・支援の推進   精神障害のある人が地域で自立して生活が行えるよう、医療・保健・福祉などの関係機関におけるネットワーク化による一層の充実を図ります。 精神保健相談・指導・支援の推進 発達に支援の必要な子ども及びその家族がよりよい社会生活を送れるよう、基本生活能力の向上を支援します。 精神障害のある人が地域で自立した生活が送れるよう、グループワークなどを実施するとともに相談支援事業の充実を図ります。 精神保健福祉士や保健所相談員などの専門職員の相談・訪問指導を行い、地域生活の支援を行います。 精神障害の程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、精神障害者を支える地域包括ケアシステムの構築を図ります。 精神障害のある人やその家族を支援するため、精神保健福祉に関する正しい知識の普及を図るとともに、こころの健康推進員、関係団体などの活動に対し積極的に助言や支援を行います。 誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、うつ病対策を中心とした自殺予防対策を実施します。 4 保育・教育の推進  障害のある児童への療育・保育・教育の実施に当たっては、福祉・医療・リハビリテーションなどの各関係機関との情報共有・連携により、個別のニーズに対応し、ライフステージを通じた切れ目のない支援が行える体制の整備を図ります。 (1)教育相談・就学相談体制の充実   障害のある乳幼児・児童・生徒がそれぞれの個性を発揮し、その能力を最大限に伸ばしていくため、一人ひとりの特性や保護者の状況にきめ細やかな対応ができるよう相談体制の充実を図ります。 教育相談・就学相談体制の充実 綾部市教育支援委員会を中心に、本人や保護者の希望、障害の実態などを考慮した教育相談・就学相談を実施します。 障害のある幼児児童生徒や保護者の状況にきめ細かく対応できるよう学校・園における相談やあやべ子どもサポートチームによる教育相談の充実を図ります。 発達に支援の必要な乳幼児の発達相談や育児に不安を持つ保護者の相談に応じられるよう、相談・助言などの支援体制を充実します。 (2)保育・療育の充実   医療・保健・福祉などの関係機関との連携を密にし、保育内容の充実や指導力の向上に努めます。また、保護者に対し家庭療育上の指導を行い、家庭と連携した発達支援を推進します。 保育・療育の充実 保育士や保育教諭、幼稚園教諭の障害児などに対する保育・教育指導力の向上に努めます。 発達に支援の必要な乳幼児の保育を保障するため、加配保育士の配置や配置に対する支援を行うとともに、医療機関・保健師・地域教育支援センターなど関係機関と連携し、保育内容の充実を図ります。 発達に支援を必要とする児童に対して子育て支援推進保育士の配置や配置に対する支援を行い、家庭と連携した保育を推進します。 療育教室において生活力・社会性を身につけるための訓練や保護者に対する家庭療育上の指導を行います。 (3)学校教育の充実   障害のある児童や生徒の資質・能力を最大限に伸ばし、充実した日常生活や社会生活を送ることができるよう、障害と障害のある人に対する理解の普及に努め、専門チームのサポートによる指導を充実します。 学校教育の充実 障害のある児童や生徒が学校生活の中で、いきいきと生活できるよう、教職員や児童生徒、保護者に障害と障害のある人に対する正しい理解と認識が得られるよう努めます。 綾部市発達サポート事業(療育教室・巡回相談)・「相談支援ファイル」の充実により、就学前から義務教育、高校・就労まで支援をつなぐことができるよう努めます。 (4)各種学習機会の提供   障害のある人が社会の様々な分野に参加していくため、社会参加に関する交流の機会の充実を図るとともに、学習機会を提供します。 各種学習機会の提供 障害のある人を対象にした講座などを実施し、社会性の向上と仲間との交流や社会参加の促進を図ることを目的に継続的な学習活動を実施します。 5 雇用・就業、経済的自立の支援  障害のある人の多様な可能性を最大限に生かし、地域において自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、関係機関などとの連携に努め、就職の意向確認、就労の場の確保、就労後のフォローなど、就労を支援する体制を整備するとともに経済的自立を支援します。 (1)雇用の促進   企業などに対する理解啓発を図るとともに、障害のある人への継続的な支援体制を確保し、支援機関と企業との情報交換などの連携に努めます。 雇用の促進 障害者雇用について企業などの理解や協力が得られるように、障害と障害のある人に対する正しい理解と認識を深めていきます。 障害者相談支援事業所や、就労移行支援事業所、就労定着支援事業所が連携し、就労支援から就労定着支援まで継続的に支援をします。 障害者地域自立支援協議会の就労部会において、継続的に関係機関と連携し、情報交換や支援方法の検討をすることにより、障害のある人の雇用促進を図ります。 (2)福祉的就労の充実   就労は自立した生活の基盤となるとともに、生きがいや社会参加の面で特に大きな位置を占めるものであるため、障害のある人の能力や適正に応じた多様な働ける場を確保します。 福祉的就労の充実 一般企業だけではなく、障害のある人がその希望や特性に応じ様々な働き方を選択できるよう、就労継続支援事業所や生活介護事業所などにおける働く場の確保をします。 (3)経済的自立の支援   障害のある人の就労機会の確保などによる経済的自立の支援を行い、日常生活や社会生活を自立して生活できるよう支援します。 経済的自立の支援 製品の販路拡大や、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律による市における調達促進により、障害者就労支援施設の利用者の工賃の向上を目指し、障害年金などと相まって経済的な自立ができるように支援します。 6 文化芸術活動・スポーツなどの社会参加の推進  障害の有無にかかわらず、社会活動に参画し生きがいのある暮らしを送ることができるよう、文化芸術活動やスポーツ、レクリエーションに親しむことができる環境の整備などを推進します。  また、視覚・聴覚などに障害のある人へのボランティア活動を支援し、障害のある人の社会参加を推進します。 (1)スポーツ・レクリエーション活動の振興と施設整備   スポーツ・レクリエーション活動を通じて、障害のある人の社会参加や生きがいづくりを支援するとともに地域での交流を推進します。 スポーツ・レクリエーション活動の振興と施設整備 地域や学校などにおいて、障害者スポーツを体験する機会を設け、障害者スポーツへの関心や障害についての理解を深める取組を実施します。 スポーツ用車いすやフライングディスクなど、障害者スポーツの用具などを整備し活用します。 障害の有無にかかわらず、障害者スポーツなどを通じて地域住民が交流する事業に対して支援を行います。 (2)文化・芸術活動への支援・推進   様々な文化・芸術活動の取組の場や情報提供を行い、社会活動への参画を図ります。 文化・芸術活動への支援・推進 障害のある人の文化・芸術活動を促進するとともに、障害者作品展の充実に努めます。 地域活動支援センターにおいて実施している創作的活動などの充実に努めます。 障害のある人の芸術・文化活動に関する情報提供の充実に努めます。 (3)ボランティアの育成・支援   研修会や講座を通じて人材育成に努め、ボランティア活動や市民活動を行う団体を支援します。 ボランティアの育成・支援 あやべボランティア総合センターを拠点にボランティア活動を支援します。 点訳、音訳、手話、要約筆記などに携わるボランティアを支援し、障害のある人の社会参加を促進します。 障害のある人の地域生活を支援するボランティア団体などの活動に対して支援を行います。 7 安全・安心な生活環境の整備  快適な生活環境を整えるため、公共施設などのバリアフリー化及びユニバーサルデザインの導入を推進します。また、障害のある人が地域で安心して生活できるよう、公共交通機関などの整備を進め、移動・交通対策を推進していきます。 (1)交通環境の整備   障害のある人が安心して街中を移動できる交通環境や施設整備の充実を図るとともに、障害のある人に対する移動支援の充実を図ります。 交通環境の整備 同行援護や移動支援事業により、視覚障害や知的障害がある人の外出に付き添い、必要な情報提供などの支援を行います。 すべての人が安全・安心に通行できる交通空間を確保するため、京都府福祉のまちづくり条例などの基準に基づき、交通施設の整備や維持に努めます。 (2)公共施設等の整備・改善   公共施設等においてバリアフリー化及びユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、障害のある人が地域で安心して生活ができるよう、福祉のまちづくりを推進します。 公共施設等の整備・改善 既存の施設においても、設備の改善のみならず、職員の応対や障害のある人への配慮など、ソフト面も含めたバリアフリーやユニバーサルデザインを目指します。 市の窓口においては、障害の特性に応じ、手話や筆談、代読など市の職員が適切な合理的配慮を行います。 施設の整備・改善に当たっては、あらゆる人にとって安全・安心な空間となるようバリアフリー化とユニバーサルデザインによるまちづくりを進めます。 8 防災、防犯などの推進  障害のある人への災害時や緊急時における情報提供や安全確保について、庁内関係課や関係機関との連携を強めます。また、避難所において、障害の種別や特性に応じた配慮を行います。 (1)防災・災害対策の推進   障害特性に応じた緊急時の通信手段の充実や防災・防犯に関する知識の普及・啓発に努め、誰もが安心して暮らせる環境をつくります。 防災・災害対策の推進 障害のある人が安心して社会生活が送れるよう、障害特性に配慮した防犯や防災に関する知識の普及・啓発に努めます。 緊急通報装置や、FAX119、NET119など、障害の特性に応じた緊急通報手段を講じます。 障害のある人の安全・安心のため、民生児童委員、社会福祉協議会と共同で、あんしんカード(災害時要援護者支援台帳)の普及に努め、日ごろの見守りや災害時の情報共有を実施します。 (2)防災ネットワークの確立   防災情報を迅速かつ確実に伝達するとともに、地域住民や関係機関との連携により、防災ネットワークの確立を図ります。 防災ネットワークの確立 「災害時要援護者支援台帳」を整備し、自主防災組織や警察などとも情報共有することにより、災害時などにおける迅速な対応に努めます。 避難所のバリアフリー化や福祉避難所の充実を図るなどにより、要援護者の避難所の確保に努めます。 地域防災力を向上させるため、地域住民や関係機関と連携し地域の防災ネットワークの確立を図ります。 防災情報などを迅速かつ確実に伝達するため、FMいかるやメールマガジン、また、災害リスクのある世帯に自動起動ラジオを貸与するなど複数の手段を用いて情報を発信します。 水害や土砂災害が発生するおそれがある要配慮者利用施設について、利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るための「避難確保計画」の策定を支援します。 (3)防犯対策及び消費者保護の推進   啓発活動などによる防犯知識の普及に努めるとともに、消費者トラブルにおける相談支援体制を整えます。 防犯対策及び消費者保護の推進 安全・安心のまちづくり推進協議会や関係機関と連携し、特殊詐欺など防犯に関する啓発活動を行います。 消費生活センターに相談員を配置し、契約上のトラブルや悪質商法などの問題解決のための助言、相談対応及び消費者被害の未然防止のための出前講座、啓発活動に取り組みます。 9 情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実  障害のある人が地域で生活していく上では、様々な情報を得ることが重要であることから、これらの情報を入手しやすい環境を整備するため、障害特性を踏まえた、情報のバリアフリー化を推進します。  また、様々なコミュニケーション手段を確保することは、障害のある人が地域で安心して暮らすことにもつながることから、情報発信の充実に努め、意思疎通支援の人材を育成します。 (1)意思疎通支援の人材育成やサービスの利用促進   障害がある人の意思疎通の充実を図るため、障害の特性に応じて、手話通訳や要約筆記などのコミュニケーションに関する支援体制を整えます。 意思疎通支援の人材育成やサービスの利用促進 手話を第一言語として社会生活を営むろう者に対し、専門的な技術を持った設置手話通訳者による意思疎通支援を行います。 意思疎通支援を充実させるため、手話通訳者、要約筆記者を派遣します。 手話奉仕員養成講座、要約筆記者養成講座を開催し、人材の養成に努めます。 派遣事業に従事する登録手話通訳者及び要約筆記者に対し、意思疎通支援技術の向上に関する研修会を開催します。 (2)多様なコミュニケーションの理解と促進   障害のある人の多様な障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段の確保のため、市民の認識を深めるための啓発や環境整備を行います。 多様なコミュニケーションの理解と促進 ろう者にとっての手話が、日本語と同様に独立した言語であるという認識を深めるよう啓発や研修を行います。 障害のある人の多様な障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段を活用するよう努めます。 音訳や要約筆記などの情報コミュニケーション支援機器や市役所窓口などの環境整備を推進します。 (3)多様なコミュニケーション手段の活用による情報発信   多様なコミュニケーション手段により、障害の特性などに配慮した情報提供を行います。 多様なコミュニケーション手段の活用による情報発信 声の広報を発行するほか、行政情報の音声版の作成に努めます。 市ホームページなどで公開する動画について字幕や手話通訳での対応を図ります。 第4章    綾部市障害者計画の推進に向けて 1 計画の推進体制  計画の推進に当たっては、国、京都府、綾部市及び民間がそれぞれの役割のもとに連携を図り合い、一体となって取り組みます。  計画に掲げた方針や施策については、国・京都府の計画実施状況を踏まえつつ、全庁的に総合的な取組を行うとともに、障害のある人に関する施策の総合的かつ計画的な推進について、綾部市障害者施策推進協議会の意見と協議を経ながら推進を図ります。 2 人材育成・確保  障害者福祉施策を推進する上で、人材の充実・確保が重要であり、人材養成研修などを実施し、福祉人材の専門性の向上や、派遣できる人材の確保を行います。  特に障害福祉サービスの従事者や意思疎通支援事業の担い手、各種ボランティアなどの人材確保が深刻な課題となっており、これらの仕事の魅力発信や働きやすい環境づくりなど、多方面にわたる施策の展開に努めます。  また、障害のある人やその家族が、自らの経験をふまえ、同じ当事者という立場で共感し合い、必要な情報の提供や相談対応をするピアサポート活動の支援も行います。 3 推進状況の定期的な点検  本計画の進捗状況の管理・評価については、計画を立て(Plan)、実行(Do)、その進捗状況を定期的に把握・評価した上で(Check)、その後の取組を改善する(Action)、一連のPDCAサイクルの構築に努めます。  また、計画の実効性を高めるために、第3章に記載している施策や取組の実施状況などを把握・評価しながら改善・見直しを行い、その結果を綾部市障害者施策推進協議会に報告し、意見を求めます。          資料編 1 計画の策定経過    令和元年10月17日〜令和元年11月8日 綾部市障害者計画等見直しに係るアンケート 障害者手帳所持者等1,000人を対象にアンケート調査実施 令和2年1月26日〜令和2年3月13日 計画策定に関する意見提出 綾部市障害者施策推進協議会、綾部市障害者地域自立支援協議会の各委員から現計画の評価及び課題について意見提出 令和2年8月27日 第1回綾部市障害者計画等策定委員会 (1)綾部市障害者計画等見直しに係るアンケート調査報告結果 (2)次期計画に向けた課題のポイントについて (3)第4期綾部市障害者計画の体系・骨子について 令和2年10月22日 第2回綾部市障害者計画等策定委員会 (1)第4期綾部市障害者計画案について (2)第6期綾部市障害福祉計画及び第2期綾部市障害児福祉計画におけるサービス等の見込みについて 令和2年11月26日 第3回綾部市障害者計画等策定委員会 (1)第6期綾部市障害福祉計画及び第2期綾部市障害児福祉計画案について (2)第4期綾部市障害者計画案について 令和2年12月23日〜令和3年1月8日 パブリックコメントの実施 第4期綾部市障害者計画(中間案)、第6期綾部市障害福祉計画及び第2期綾部市障害児福祉計画(中間案)について意見募集 令和3年1月27日 第3回綾部市障害者地域自立支援協議会 (1)第4期綾部市障害者計画最終案について (2)第6期綾部市障害福祉計画及び第2期綾部市障害児福祉計画最終案について 令和3年2月9日 第2回綾部市障害者施策推進協議会 (1)第4期綾部市障害者計画案最終案について (2)第6期綾部市障害福祉計画及び第2期綾部市障害児福祉計画最終案について 2 綾部市障害者計画等見直しに係るアンケート結果 (1)調査の概要  @ 調査目的  令和2年度に改定予定の「綾部市障害者計画」、「綾部市障害福祉計画」、及び「綾部市障害児福祉計画」に広く市民の意向を反映し、更なる障害児者施策の総合的・計画的な実施に活用する目的で実施しました。 A 調査対象  綾部市に居住する下記の市民を対象に実施しました。 ・身体障害者手帳を所有する18歳以上65歳未満の市民250人及び65歳以上の市民250人  ・療育手帳を所有する18歳以上の市民250人  ・精神障害者保健福祉手帳を所有する18歳以上の市民170人 ・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを所持するか児童通所支援等を利用する18歳未満の市民80人 B 調査時期  令和元年10月17日〜令和元年11月8日 C 調査方法  郵送配布・郵送回収により実施しました(一部、市職員より対象者へ直接配布し郵送により回収)。 D 調査票配布・回収の状況 調査対象者 配布数 回収数(回収率) 身体障害者 500 255(51.0%) 知的障害者 250 113(45.2%) 精神障害者 170 78(45.9%) 障害児 80 32(40.0%) 全体 1,000 478(47.8%) (2)3障害共通のアンケート結果  問3 現在の世帯の状況を教えてください。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「自分(または自分たち夫婦)と子」の割合が、精神障害で「ひとり暮らし」の割合が高くなっています。また、知的障害で「自分(または自分たち夫婦)と親」の割合が高くなっています。 問6 あなたが初めて障害を受けたのは、何歳頃ですか。 【身体障害】  初めて障害を受けた年齢についてみると、「40〜64歳」(34.9%)が最も多く、次いで「65歳以上」(30.6%)、「19歳〜39歳」(13.7%)となっています。初めて障害を受けた年齢が40歳以上という人が6割以上を占めています。 【知的障害】  知的障害が判明した年齢についてみると、「0歳〜5歳」(44.2%)が最も多く、次いで「6歳〜12歳」(23.0%)、「13歳〜18歳」(7.1%)となっています。 【精神障害】  精神(発達)障害(病気)の診断を受けた年齢についてみると、「19歳〜39歳」(44.9%)が最も多く、次いで「40〜64歳」(19.2%)、「13歳〜18歳」(10.3%)となっています。 問11 主に家族の介助が必要な方にお尋ねします。主な介助者は、次のうち誰ですか。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「配偶者」の割合が、知的障害で「親」の割合が高くなっています。 問12 家族に主な介助を受けている方は、その介助者の年齢を教えてください。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「40歳〜64歳」の割合が、精神障害、知的障害で「65歳〜74歳」の割合が高くなっています。 問13 現在の住宅での介助の状況をお聞かせください。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害、知的障害で「今のところは、介助ができている」の割合が高くなっています。 問14 現在の収入(生活費に充てる収入)は、何ですか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「公的年金」の割合が、精神障害で「就労先からの給与」「障害者の通所施設からの工賃」の割合が高くなっています。また、精神障害、知的障害で「家族からの支援」の割合が高くなっています。 問15 世帯の1か月の収入は、いくらぐらいですか。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「25万円〜39万円」の割合が、精神障害で「5万円〜9万円」の割合が高くなっています。 問18 あなたが生活していくうえで困ったり悩んだりしていることは何ですか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、精神障害で「家計や経済的なこと」「住宅のこと」「仕事のこと」「近所づきあいや地域との関わりのこと」の割合が高くなっています。また、身体障害、精神障害で「老後のこと」「健康のこと」の割合が高くなっています。 問19 あなたにとって、心配事や悩みを相談できるのはだれですか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、精神障害で「主治医や医療機関の職員」「生活支援センターの相談員やケアマネジャー」の割合が、知的障害で「通所・入所施設の職員」の割合が高くなっています。また、身体障害、知的障害で「家族」の割合が高くなっています。 問20 この1年間、あなたはどの程度地域の人と交流をしましたか。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「日常的に交流した」の割合が高くなっています。また、精神障害、知的障害で「交流していない」の割合が高くなっています。 問21 地域の人との交流をしていない理由はどのようなことですか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「外出が困難だから」「人づきあいがわずらわしいから」の割合が、知的障害で「会話など、コミュニケーションが困難だから」「地域のことに関心がないから」の割合が高くなっています。 問22 障害者が、地域活動に参加しやすくするために、どのような環境づくりが必要だと思いますか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「バリアフリー等の施設整備ができていること」の割合が、知的障害で「コミュニケーション支援など、障害がある人への情報保障をする仕組みの充実」の割合が高くなっています。 問25 あなたは、過去1年間に何回外出しましたか。(○はひとつ)  障害種別でみると、他に比べ、知的障害で「ほぼ毎日」の割合が高くなっています。また、身体障害、精神障害で「週2〜3回」の割合が高くなっています。 問26 外出の目的は次のうちどれですか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「自治会や公民館などの地域活動」の割合が、精神障害で「買い物」の割合が、知的障害で「映画鑑賞、コンサート、スポーツなどの観賞・見物」の割合が高くなっています。また、身体障害、精神障害で「通院」の割合が、精神障害、知的障害で「障害者団体等の活動」の割合が高くなっています。 問28 困ったことがおきた外出先があれば教えてください。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、精神障害で「スーパー、商店」「病院」の割合が高くなっています。 問31 次のような場面で、以前と比べて障害のある人に対する社会の理解が深まったと思いますか。  ア.職場や雇用の場  障害種別でみると、他に比べ、知的障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。  イ.学校や教育・保育の場  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。  ウ.地域の行事や集まりの場  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。  エ.バスや電車など公共交通機関の利用  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。    オ.病院の受診  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。  カ.販売店や飲食店などのお店  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。  キ.市役所の窓口  障害種別でみると、他に比べ、身体障害、精神障害で「そう思う」と「やや思う」をあわせた“思う”の割合が高くなっています。 問32 日ごろどのようにして行政の様々な情報を得ていますか。(○はいくつでも)  障害種別でみると、他に比べ、身体障害で「府及び市広報、声の広報」「新聞・雑誌」の割合が、知的障害で「家族・親戚」の割合が高くなっています。また、精神障害、知的障害で「生活支援センター」の割合が高くなっています。 (3)児童の主なアンケート結果  問4−1 お子さんは発達障害の診断を受けていますか。   子どもの発達障害の診断状況についてみると、「受けている」(46.9%)が最も多く、次いで「受けていない」(31.3%)、「受けていないが心配している面がある」(9.4%)となっています。 問5 現在、お子さんへの介助の状況をお聞かせください。   現在の子どもの介助状況についてみると、「今のところは、介助ができている」(62.5%)が最も多く、次いで「その他」(9.4%)、「施設入所中」(6.3%)となっています。   前回調査と比べると、「今のところは、介助ができている」は前回(72.7%)より10.2ポイント少なくなっています。 問6 お子さんは日中どのようにして過ごしておられますか。   子どもの日中の過ごし方についてみると、「自宅で過ごしている」(31.3%)と「療育教室へ行っている」(31.3%)が最も多く、次いで「地域の学校へ行っている」(28.1%)、「保育所や幼稚園へ行っている」(25.0%)、「特別支援学校へ行っている」(25.0%)、「リハビリに行っている」(25.0%)となっています。   前回調査と比べると、「自宅で過ごしている」と「療育教室へ行っている」は前回(ともに13.6%)より17.7ポイント多く、「保育所や幼稚園へ行っている」は前回(13.6%)より11.4ポイント多くなっています。一方、「特別支援学校へ行っている」は前回(31.8%)より6.8ポイント少なく、「地域の学校へ行っている」は前回(40.9%)より12.8ポイント少なくなっています。 問11 お子さんのことで心配ごとや悩みがあるときに、相談できるのはだれですか。   子どものことを相談できる相手についてみると、「家族」(81.3%)が最も多く、次いで「学校・園の先生」(62.5%)、「主治医や医療機関の職員」(56.3%)となっています。   前回調査と比べると、「主治医や医療機関の職員」は前回(31.8%)より24.5ポイント多く、「家族」、「市役所や保健所などの職員」(21.9%)、「学校・園の先生」もそれぞれ前回より10ポイント以上多くなっています。一方、「友人」(31.3%)は前回(40.9%)より9.6ポイント少なくなっています。 問12 あなたが生活していく上で困ったり悩んだりしていることは何ですか。   生活上の困りごとや悩みごとについてみると、「お子さんの将来のこと」(84.4%)が最も多く、次いで「経済的なこと」(53.1%)、「仕事のこと」(40.6%)となっています。   前回調査と比べると、「経済的なこと」、「住宅のこと」(21.9%)、「災害や犯罪」はそれぞれ前回より10ポイント以上多く、「親の老後のこと」(25.0%)、「仕事のこと」(31.8%)もそれぞれ前回より6ポイント以上多くなっています。一方、「お子さんの将来のこと」は前回(90.9%)より6.5ポイント少なくなっています。 問13 お子さんのことで、困ったり悩んだりしていることは何ですか。   子どもについての困りごとや悩みごとについてみると、「家族がいなくなったときの生活」(75.0%)が最も多く、次いで「進学や訓練、就職等進路のこと」(59.4%)、「本人の障害や病気に関すること」(46.9%)となっています。 問14 障害のある児童・生徒の教育について、どのようなことが必要であると思いますか。   障害のある児童・生徒の教育に必要なことについてみると、「教育・保健・医療・福祉等の関係機関の連携」(75.0%)が最も多く、次いで「児童・生徒の個々のニーズに応じた学習指導の充実」(68.8%)、「特別支援教育の理解・啓発の推進」(65.6%)となっています。 問15 お子さんは、たんの吸引、導尿、経管栄養、人工呼吸器管理など医療的ケアが必要ですか。   子どもの医療的ケアの必要性についてみると、「必要としていない」(87.5%)が最も多く、次いで「必要としている」(6.3%)となっています。   前回調査と比べると、「必要としている」は前回(18.2%)より11.9ポイント少なくなっています。 3 用語解説  【あ行】 アクセシビリティ 年齢や障害の有無に関係なく、誰でもさまざまな製品、サービスや情報などを支障なく利用できること。 意思疎通支援事業 聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通に支障がある人を手話通訳者の設置、手話通訳者や要約筆記者の派遣などにより支援する事業。  【か行】 グループホーム 障害により単身生活が困難な人を対象とした、相談や日常生活上の援助や入浴、排せつ又は食事の介護等を受けながら地域で共同生活を営むことのできる住居のこと。 合理的配慮 「障害者権利条約」の第2条で定義が示されている。具体的には、障害のある人が障害のない人と平等であることを基礎として、すべての人権・基本的自由を持ち又は行使できることを確保するための必要かつ適切な変更・調整のこと。「特定の場合に必要とされるものであり、かつ不釣合いな、又は過重な負担を課さないもの」という条件が付けられる。  【さ行】 社会的障壁 障害のある人にとって日常生活又は社会生活を営むうえで障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの。 障害支援区分 障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すもの。区分1から区分6まであり、区分6が最も支援の度合いが高い。 障害者基本法 障害のある人の自立と社会参加の支援等のための施策に関して基本原則を定め、国や地方公共団体の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることによって障害者施策を総合的かつ計画的に進め、障害者福祉を増進することを目的とする法律(平成5年施行)。 障害者差別解消法 正式名称は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」。全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進するための法律(平成28年施行)。 障害者就業・生活支援センター 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、身近な地域で、障害者の就業面と生活面の支援を一体的に行い、障害者の雇用の促進や職業の安定を図る機関のこと。 成年後見制度 判断能力が十分でない認知症高齢者、知的障害のある人、精神障害のある人を不利益から守る制度。契約締結や費用支払等の財産管理、施設や介護サービスの選択等について契約等の法律行為を行うのが困難な場合に、後見人等を選任し、本人に代わり生活と財産を保護する。 障害者相談支援事業 障害のある人やその家族などからの相談に応じ、障害のある人の自立と社会参加の促進を図るため、福祉サービスの利用援助、社会資源の活用及び社会生活力を高めるための支援を行う事業 のこと。  【た行】 地域包括ケアシステム 地域の包括的な支援・サービス提供体制のこと。取り分け、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムとは、精神障害者が、地域の一員として、安心して自分らしい暮らしができるよう、医療、障害福祉・介護、社会参加、住まい、地域の助け合い、教育が包括的に確保されたシステムのことを言う。 地域包括支援センター 高齢者が住みなれた地域で安心して生活するための相談窓口であり、介護・福祉・医療・健康等、さまざまな面から総合的に支援するための機関。  【な行】 ニーズ 必要としていることとその程度(量・質)を示す概念。障害のある人及びその家族が日々の生活の中で「困っていること」「望んでいること」(課題すべき課題)も含まれる。 ノーマライゼーション 障害のある者が障害のない者と同等に生活し、活動する社会を目指す理念。障害のある人を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルな社会であるという考え。  【は行】 バリアフリー 障害のある人や高齢者等が社会生活をしていく上で、障壁(バリア)となるものを除去する考え方。段差等、物理的な障壁だけでなく、障害のある人等の社会参加を困難にしている情報・文化的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味も含んでいる。  【や行】 ユニバーサルデザイン 高齢者・障害のある人・子ども・妊産婦等みんなが使いやすい製品や住みやすい環境をつくりだそうという考え方。 要約筆記 話し手の内容をつかんで、それを筆記して聴覚障害のある人に伝達すること。話の内容を書き取りスクリーンに投影する方法や、パソコンで入力した内容をビデオプロジェクターから投影する方法が用いられる。通常、所定の講習を受けて要約筆記の技術を習得した者が行う。  【ら行】 ライフステージ 人の一生を幼児期、児童期、青年期、成年期、老年期など年代によって分けたそれぞれの段階のこと。それぞれの段階に応じた節目となるできごとがあり、それぞれの段階ごとに特徴的な悩みや問題などがみられる。